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もっと速く! ドコモが切り開くLTE-Advancedの未来

2014年01月17日 12時00分更新

文● 平澤寿康

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UQやWCPがスタートさせている
TD-LTEはどう見ている?

───他社は、TD-LTE準拠のサービスが開始されていますが、ドコモではどのように考えていますか?

安部田 3Gの場合は、FDDとTDDでは全く別ものでした。それに対してLTEの場合、FDDとTDDは同じ部分が多くなっています。例えば、データの1つのフレームだけを見ると全く同じですし、上位レイヤーに関しても全く同じです。FDDでは、データの送信と受信を周波数でわけて行なっているのに対して、TDDでは同じ周波数帯域の中で時間を切り替えてデータの送受信を行なうという違いはありますが、それ以外の部分では共通部分がかなり多くなっています。

 我々は現在、TD-LTE用の周波数を持っていませんので運用はしていませんが、もしTD-LTEを導入する場合にはFDD-LTEのノウハウをTD-LTEに活用できるでしょう。また、効率的にもどちらも変わらないと考えています。

 グローバルで、特定の周波数帯域がTD-LTEに割り当てられ、日本でもその帯域がTD-LTEに割り当てられるということになれば、当然我々もその帯域でTD-LTEを展開するのが望ましいですね。

TD-LTEやLTE-Advancedに取り組んでいる安部田氏。TD-LTEへの対応だけでなく、LTE-Advancedの開発も順調に進んでいるそうだ

───技術的には、FDD-LTEとTD-LTEに大きな違いはないということですね。

安部田 はい、そうです。FDDは上りと下りで別々の周波数となりますが、TDDは同じ帯域で上りと下りを実現しますので、世界で共通のバンドを割り当てるという点ではTDDのほうがやりやすいと思います。

 ただ、TDDは同期を取らなければならないという問題があります。同期を取るにしても、例えばドコモだけで同期を取るのは難しくないのですが、TDDの場合は他のオペレーターさんとも同期を取らないと、お互いが干渉するのです。現在は、TD-LTEに割り当てられている帯域がたまたま分かれているので問題はありませんが、将来隣接する帯域に割り当てられた場合は、お互いにタイミングなどを合わせる必要があります。

 実際に、過去に展開していたPHSはTDD方式で運用していましたが、最終的には事業者間で同期を取るということを行なっていました。このように、運用面ではTDDはある程度調整が必要となります。

 TD-LTEでは、状況に応じて送受信の比率を変えられるメリットがあると言われることもありますが、実際にはオペレーター間で同期を取って、同じタイミングで送受信を行なわないとお互いに干渉してしまいますので、一度送受信の比率を決めたら事実上比率の変更は不可能だと思います。

───ということは、運用時の取り決めをオペレーター間で取れさえすれば、運用自体は難しくないということですか?

安部田 そうですね、そのとおりです。

───それでは、TD-LTEのサービス提供が決まれば、比較的早く展開できるということでしょうか。

安部田 TDDに関しては特有の機能がありますので、その部分の開発は必要になります。また、無線は周波数ごとに変わってきますので、周波数部分の開発も必要です。

平本 やはり、周波数が決まらないと具体的な着手は難しいです。ただ、LTEでやってきた開発に対して、大きなハードルはないと思っています。

───ドコモとして、TD-LTEのサービスを展開することは具体的に決まっていないと思いますが、そういった中でもTD-LTEに対してどのような考えをお持ちでしょうか。

安部田 先ほども説明しましたように、FDD-LTEとTD-LTEの間には技術的な差はほぼありません。その観点から見ると、TD-LTEを展開するということは、新たな周波数帯域をを割り当てていただけるのと同じだと考えています。現在Xiでは、4つの帯域でサービスを展開していますが、そこにTD-LTEの周波数帯域が1つ増える、ということですね。

FD-LTEとTD-LTEをシームレスで使えるグローバル版GALAXY S4。ソフトバンクの2013年冬春モデルは4モデルすべてがどちらのLTEにも対応していた

───では、将来TD-LTEのサービスを展開すると仮定した場合、それは現在のXiに含まれるサービスとして展開するのがいいのか、それとも全く用途の異なるサービスとして展開するべきか、どのようにお考えでしょうか。

安部田 あくまでも私の個人的な意見ですが……。Xiとサービスを分けるメリットはあまり感じていません。現在はTD-LTEに対応する端末はまだ多くありませんが、将来は普通の端末もTD-LTEに対応するようになると思います。TD-LTEに対応する端末はFDD-LTEにも対応することになりますので、TD-LTEも含めてスループットの出る帯域を選択して使うようにするのがいいと思います。

平本 トラフィックは今後も伸びると予測していて、TD-LTEは新たな追加バンドと思っています。特徴的な用途が見つかればそちらに特化することもできますが、システム容量として伸びていくトラフィックをまかなっていくという意味でも、今のLTEの延長として考えています。

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