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なぜ今「Firefox OS」が必要なのか? Mozillaトップが語る

2013年11月18日 21時00分更新

文● 末岡洋子

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 今年のモバイル市場のニュースの1つが新しいOSの登場だ。Mozilla、Jolla、Canonical、Tizen Associationの4つが参入を明らかにしているが、その中でMozillaの「Firefox OS」は7月に端末が市場に登場。Webブラウザーでの知名度もあり、頭一つリードした感がある。現在Firefox OSを搭載したスマートフォンはスペイン、ポーランドなど欧州数ヵ国、ブラジル、ベネズエラなどの南米市場で販売されている。

 11月14日に米サンフランシスコで開催された「Open Mobile Summit 2013」でMozilla会長のMitchel Baker氏がFirefox OSの狙い、Mozillaが見るモバイル市場の問題などについて語った。

Mozilla会長のMitchel Baker氏

あらゆる“モノ”がモバイルインターネット化する時代
真にオープンなプラットフォームが必要

 なぜ、MozillaはFirefox OSを開発することになったのだろうか? Baker氏はまず、モバイル市場の現状を次のように説明する。

 「今日“モバイル”が意味することは、(iOS、Androidなど)特定のOSであり、アプリモデルであり、それは基本的にはGoogleとAppleのこと。だがモバイルは"小さなコンピューター"と考えると、モバイルの可能性がいかに大きいのかが分かる」。

 同時に示唆したのが、モノのインターネット(Internet of Things)のトレンドだ。「我々は現在、データとコンピューティングが爆発する臨界点にある」とし、「椅子、テーブルなどあらゆるものがスマートになり、どんどんデータを(インターネットに)発するようになる。この結果、これまでとは違う世界になる。これらのデータが一握りの企業に送られてコントロールされる……企業の意図がどんなに素晴らしいものだったとしても、その会社のビジネスモデルに制限される」と警告する。

 その上で「我々が本当に必要としているのは、持ち歩くコンピューター(=モバイル)が大きな意味を持つ端末、それにUIを持たない端末とシームレスに相互運用できること」とし、「現在のモバイルはバラバラだ。MozillaはFirefox OSをモバイル環境に持ち込み、オープンにするのを奨励する。これによりデータや情報が相互にやりとりできる」と続けた。

AppleやGoogleの許可が必要な世界では
真のイノベーションは誕生しない

 Baker氏が強調したのが「モバイルとウェブのマージ」だ。現在は、モバイルで1つのOSを選ぶと、端末/アプリとすべてが決定されることになっている。このような「垂直型のサイロ」はウェブにとってよくないだけでなく、イノベーションも阻害するという。

 たとえばSkype。まずPCで流行に火がついたVoIPアプリだが、キャリアがコントロールしていた時代のモバイルの世界では生まれなかったであろうイノベーションだ。「キャリアはSkypeを閉め出しただろう。Appleにとっては脅威ではないから、Skypeにノーと言わないだろうが、自社(Apple)のビジネスに脅威となるものにはノーと言うだろう。(コントロールする企業による)許可が前提の世界ではイノベーションは生まれない」「現在のイノベーションはAppleやGoogleの許可が条件になっている。これは良くない状態だ」と危機感を露にした。

現時点で一般の消費者が新OSを求めていないのは事実
ただし、価格がより重要な市場もある

 だが、Androidのシェアが8割に達し、Appleがトレンドを作っているという現在のスマートフォンにどうやってMozillaが食い込むのか……。これについては、Baker氏自身も消費者がGoogleとApple以外の選択肢をさほど必要としていない現状を認めている。

 「(一般的な消費者は)誰が自分を追跡しているのか、コントロールされているのか気にしていないかもしれない。実際、問題なく快適に使えているのだから(あまり気にしていないだろう)」と語る。「だが、歴史を振り返るとサイクルがある」とBaker氏。長期間にわたって安全で快適な社会というのは「残念ながらほとんどない」とし、自分の情報が重要と感じたり、追跡されているのかが気になる時期が周期的に起こるとした。

 もう1つのポイントは価格だ。「何セント安く購入できたかを気にしている人が世界にはたくさんいる。価格が加速要因になっている市場はたくさんある。Firefox OSはここにフィットする」とする。こういったことから、Firefox OSはまずは新興国市場を最初のターゲットにする。「20億人の人が新たにネットワークにやってくる。SMSからインターネットにやってくる人もいる。さまざまな情報、モバイルウェブサイトにアクセスする。このバリューを実現する」。

 同時にイベントの開催地である米国については、「最初のターゲット市場ではない」と明言する。Mozillaは当初から米国への進出は2014年以降としており、Bakerの発言もこれまでの計画に沿うものだ。

 「(米国は)モバイル利用の洗練度が高く、価格は重要ではないグループだ。米国のユーザーの多くが500ドルの端末を買うことができるし、気に入らなければ買い替えることができる。だが、これは他のほとんどの世界ではありえない」とし、成熟国でスマートフォンの加速要因となっている便利さや容易さが、世界の多くを占める新興国市場では加速要因にはならないとの見解を示した。そこでは価格が加速要因になるというのがBaker氏の分析だ。一方で、成熟国がFirefox OSスマホに関心を示すことも期待している。Baker氏は、「新興国でアプリとウェブのマージがはじまったら、関心が高まってくると期待している」と語った。

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