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10シートから月額料金で使えるクラウドサービスも

VDIをもっと身近にする「Dell Active System BR for VDI」

2013年10月31日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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10月30日、デルは統合型インフラストラクチャ「Dell Active System」の新製品としてVDI(Virtual Desktop Infrastracture)環境の導入を容易にする「Dell Active System BRS for VDI」の販売を開始した。10シートから簡単に導入できるVDIパッケージも用意し、中小企業に展開していく。

中小企業に最適なVDIオールインワンパッケージ

 今年の8月に提供を開始したDell Active Systemはサーバーやストレージ、ネットワークなどのを統合したオールインワン型のパッケージ。各ワークロードに最適化されたサイジングで構成されており、事前統合した形で工場から出荷する形態とオンサイトで統合する形態の両方で提供されている。

 ソリューション概要について説明したデル エンタープライズサービス&ソリューション マーケティング本部 クラウドソリューションブランドマネージャー 布谷恒和氏は、2012年の国内法人向けのクライアント端末における仮想化導入率が20%を超え、マルチデバイス化が浸透、さらに2014年のWindows XPサポート切れを迎えるなどの契機から、VDI市場が急速に拡大していると説明。「黎明期から普及期に入った。今までVMwareの延長でVDIを使っていたが、最近はVDI自体の導入が進んできた」(布谷氏)と語る。

デル エンタープライズサービス&ソリューション マーケティング本部 クラウドソリューションブランドマネージャー 布谷恒和氏

 こうしたVDI環境を容易に導入できるようにするのが、Dell Active System BRS for VDIになる。今回発表されたDell Active System BRS for VDIは導入サービスやハードウェア、保守サービスまですべてパッケージ化されており、BRS(Business Ready System)の名前の通り、VDI環境を迅速に導入できる。おもに中小企業をターゲットにしており、導入サービスまで含んだわかりやすい料金となっているのが特徴だ。

Dell Active System BRS for VDIのソリューション概要

 ハードウェア構成としてはx86サーバー(R420/R620)、ストレージ(EqualLogic PS6100X)などをスイッチ(PowerConnect 7024)で冗長構成で接続されており、このインフラ上にVMware Horizon ViewベースのVDIが導入されている。

 ラインナップとしては、PoC(Proof of Concept)と100シート、300シートの3種類が用意されており、PoCから100シート、100シートから300シートへのアップグレードが可能になっている。布谷氏は、「他社製品はスモールスタートで増やしていくのは難しい」と述べ、他社の垂直統合型システムとの違いをアピールした。

 さらに10シート、20シートなど小規模向けのVDI環境向けに「GoToMyPC」(シトリックス)を用いた月額定額制のサービス「Active System BRS for VDI VSBP(VDI Small Business Pack)」も新たにラインナップされた。GoToMyPCでは、管理、セキュリティ通信、接続管理、画面転送などをクラウド側から提供し、実際のデスクトップ配信はデルのT110Ⅱのサーバーをユーザー拠点に設置することで実現している。「共用型のDaaSではなく、顧客ごとに占有するセキュアなVDIが月額料金で利用できる」(布谷氏)とのことで、1シートあたり月額4920円という価格で提供される。

検証用のPoCと100シート、300シートの3種類が用意

「GoToMyPC」を用いた月額定額制のサービス「Active System BRS for VDI VSBP

 その他、VDI環境で利用されるWyseのシンクライアントや各種クライアントPC、タブレット、UPSはもとより、デル製品の管理を実現するvCenter用のプラグイン、SonicWALLのUTMやSSL-VPNゲートウェイ、VMのキャパシティ管理を行なう「Foglight」、VMバックアップの「vRanger」など幅広いオプション製品も用意。サービスも移行設計はもちろんこと、ロードバランサー、リンクドクローン、認証局やActive Directory構築、Wyseの導入設定などが用意されており、幅広いカスタマイズ要件に応える。

パートナー独自のソリューションを提供できる

 Dell Active System BRS for VDIは、いわゆる統合型インフラストラクチャ製品でありながら、パートナーとの協業を重視している。デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューション統括本部長 町田栄作氏は、「より早く、より成果を出していくために、パートナーと協力が不可欠」と述べ、直販のみではなく、パートナーによるソリューション提案を積極的に進めていく点をアピール。発表会では、アセンテック、ヴイエムウェア、オリックス・レンテック、兼松エレクトロニクス、ビットアイルなどの関係者も登壇し、各社のソリューションのメリットや意気込みを語った。

デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューション統括本部長 町田栄作氏

 Dell Active System BRS for VDIの価格は、オンプレミス評価用のPoCが298万円から、100が1600万円~、300が3100万円~となっており、おおむね1ユーザー/10万円の価格で提供される。布谷氏は「今までのVDIパッケージは大企業やサービスプロバイダー向けがメインだった。今後は中小企業に伸びていくので、Active System BRS for VDIをVDIパッケージのスタンダードにしていきたい」と抱負を語る。

 なお町田氏は、製品説明に先だって親会社である米デルが非公開化し、プライベートカンパニーになった点について言及。「30年目に世界最大のスタートアップ企業として生まれ変わった」とアピールし、「今後もオープンで、自動化を推進していく方向性は変わらない」と語り、引き続き革新性を重んじたビジネスを展開していくと説明した。

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