One Sonyを生かせる強みを
ソニーモバイルコミュニケーションズ・鈴木国正代表取締役社長兼CEOは、「優秀な質の高いアプリケーションを、自分たちで作り込めるかどうかも鍵。ここにも、ソニーが持つ技術力を生かした」とし、カメラを楽しむための独自アプリケーションも差別化のひとつに掲げる。
その鈴木社長は、「ソニーが持つ最高の技術を取り入れたのがXperia Z1。Best of Sonyの第1章となる」と語る。
この言葉には、Xperia Z1には、ソニーが持つ数々の技術が搭載されたという意味があるのは明らかだが、それとともに、その裏にある、各領域における先端技術を集めた製品を作り上げることができる「文化」が定着してきたという意味が見逃せない。
9月13日に、東京・銀座のソニービルで行われた記者会見では、Xperia Z1の開発に携わった社員が次々と登壇したが、なかでも、カメラ機能に関しては、ソニーでカメラを担当するデジタルイメージング事業本部の技術者が直接説明を行った。
つまり、カメラ機能は、ソニーモバイルで開発したのではなく、ソニーのデジタルイメージング事業本部と深く連携した上で開発されたということを示した格好だ。
そこに鈴木社長が語る「Best of Sonyの第1章」の意味がある。
Xperia Z1でカメラ機能にこだわったのは、OneSonyを生かせる強みがここにあると考えたからだ。
鈴木社長は、「Best of Sony,for Best of Sony」というメッセージを示しながら、「これは、ソニーが目指しているOne Sonyを表現する言葉となる。ソニーが持つ様々なコアテクノロジーを活用するとともに、ローカルとネットで提供されるサービスおよびアプリケーションをシームレスにつなげることができ、さらにソニーが発売するスマートウォッチをはじめする各種製品とのエコシステムも実現する。スマートフォンを軸にして、ソニートータルでユーザーエクスペリエンスを考えていくことができる体制、文化が整った」とする。
Xperia Z1は、製品における技術的な融合だけでなく、体制や文化と言われる部分まで含めて融合が始まった象徴ともいえるわけだ。
この取り組みは、結果として、「ソニーらしい製品」の創出につながっているといえよう。
「フラッグシップといえる製品をきちっと出せたと考えている。この取り組みを中下位機種にも広げていきたい。そして、ソニーの製品はなにか、と言われたら『これだ』といえるものを出し続けていきたい」と鈴木社長は語る。
Best of Sonyの次の取り組みがいまから楽しみだ。
この連載の記事
-
第589回
ビジネス
三菱電機が標ぼうする「サステナビリティ経営」、トレードオフからトレードオンへ -
第588回
ビジネス
富士通の子会社でDX専門のコンサルティングをするRidgelinez -
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの - この連載の一覧へ