最後にAMD最適化済みのタイトルとして「Tomb Raider」を試してみる。画質は最も重い「Ultimate」に設定し、内蔵ベンチマークモードを使って計測した。解像度はBattlefield 3と同じ2通りに設定している。
このテストではR9 280XとHD 7970GEの差が少し拡大しているが、基本的に両者は同レベルと考えて良さそうだ。3DMarkで大きなスコア差がつき、実ゲームでは大差がない理由はドライバー側の“最適化”が進んでいるせいと考えられる。
高負荷時の消費電力が減
最後は消費電力を「Watts Up? PRO」で比較する。R9 280XとHD 7970GEの性能がほぼ同じであることはわかったので、逆に消費電力が少なければ、ワットパフォーマンスが向上したと判断できる。アイドル時および3DMark「Fire Strike」デモ終盤の格闘シーンにおける消費電力をそれぞれ計測してみた。
アイドル時は大差ないが、高負荷時はHD 7970GEに対し27W減と、確かにワットパフォーマンスが大きく向上していることがわかった。ただ今回GeForce系がGTX 760しか準備できなかったため、これを見ると「GeForceに対しまだまだ……」という印象を与えてしまうテストになってしまった点は、この場を借りてお詫びしたい。
試せていない新要素へ
今後どう対応するかが見もの
ここまで駆け足でR9 280Xの性能を検証してきたが、現状ではまだワットパフォーマンスの改善したHD 7970GEという評価しかできないGPUだ。高性能クーラー付きのオーバークロック版だと実売価格もそれほど安くないことを考えれば、今焦ってR9 280Xを買う必要はまったくない。
ただAMDはゲームデベロッパーを自社開発のAPI「Mantle」で抱え込み、家庭用ゲーム機用タイトルをPCに移植しやすくすることでゲーム市場を支配しようという戦略を立てている。
Mantle最適化済みゲームが出てくれば、単なるワットパフォーマンス改善版という評価から脱却できる日がくるのは確実だ。GeForceでも遊べるが、R9/R7系ならもっと低いグレードのGPUでも同等のパフォーマンスが得られるとなれば、“ゲームはRadeon”という評価は確実のものとなるはずだ。
正直なところ、Radeonファンとしては既存のラインナップの刷新よりも、フラッグシップであるRadeon R9 290XがGeForce GTX TITANという“巨人”の進撃を見事止めるシーンが見たいのである。一日も速いR9 290Xのリリースと、Mantleの詳細の公開が求められるのだ。
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