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山谷剛史の「アジアIT小話」 第55回

中国の“ニセiMac”を買ってみた! 細かいところが残念!!

2013年09月05日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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搭載されているOSはフツーのWindows 7

ニセiMacの電源をつけると……

ニセiMacの電源をつけると……

AMI BIOSの画面が表示される

AMI BIOSの画面が表示される

 ニセiMacの電源を入れると、ニセiMac向けにつくられた起動画面が表示……はされず、極めて一般的なAMI BIOSのPOST画面が表示され、その後普通にWindows 7が起動する。

スキン的なものがなにも施されていないデスクトップ

スキン的なものがなにも施されていないデスクトップ

 店員は「OS XではないがOS X似のOSが入っている」と事前に話していたが、スキンを入れていることもなく普通のWindows 7であった。フロントカメラもWindows用のソフトを普通に起動するのみ。新たに入れられたソフトは、中国人御用達のチャットソフトのQQだけであった。

 なお、筆者自身、後ほど手持ちの正規版Windows 8を導入したが、海賊版だけあって初期導入済みのWindows 7のエディションは「Enterprise版」と容赦ない。

 CPUやHDDなどのスペック面においては、淘宝網での販売情報に嘘はなかったが、OSの売り文句には嘘があったわけで少々期待はずれ。中国のサイトでは外国産のOS X似のスキンを配布しているものの、中国産のスキンは出ていない模様。

 ちなみに「側面の光学ドライブのスロットが、本当にただの溝でしかなかった」と前述したが、元々光学ドライブ抜きの製品であった。

パフォーマンスを計測してみた

 CINEBENCH 11.5とGeekBench 3.0.2でとベンチマークを行なってみた。Celeron搭載モデルなので、こちらの記事で紹介されているCore i5搭載の本家iMacに性能で勝るわけがなく惨敗である(Atom搭載モデルならどれだけ差がつくか)。

 文書作成やブラウジング、写真閲覧程度ならなんら問題はないが、フォトレタッチやエンコードなどを行なうにはまったく非力である。

 なお、下のグラフでは上記の本家iMac記事のベンチ結果も併記しているが、ベンチプログラムのバージョンが異なるのであくまで参考と考えてほしい。

MAXON CINEBENCH R11.5の結果

Geek Benchの結果

 画面解像度は1920×1080ドット。画面以前にどうも内部のディスプレー周りのケーブルが繋がってないのか、画面がブレたり、黒い部分が茶色くなったりする。さすがにこれはチャットで店員に苦情を言い、交換処理をしてもらった。ノンブランド品はこのようなリスクがあるから買うときには覚悟が必要だ。

やっぱりホンモノのiMacは偉大だ!

新しいニセiMacはさらに薄くなっているとか

新しいニセiMacはさらに薄くなっているとか

販売店が見せる新ニセiMac内部

販売店が見せる新ニセiMac内部

 ニセモノを使い、リアルショップで本家iMacを触ることで、あらためてiMacのすごさを実感した筆者。

 ニセモノは薄型化されたり、フロントカメラが広角化したり、タッチパネルがついたりと変化を遂げつつあるようだが、あくまで見た目iMacなWindows搭載PCである。

 ただ、Windows XP以降に慣れきった中国人からみれば、OS Xはわからないし、見た目iMacならメンツを満たせるわけで、とりあえず動くし中国人消費者的には案外ニーズを満たすのではないかとも思う。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。

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