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失敗しないスマートデバイスのビジネス利用 第1回

スマートデバイスもPCと同じような管理が必要

企業のスマートデバイス利用にはなぜMDMが必要か?

2013年09月09日 09時00分更新

文● アイキューブドシステムズ

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スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの企業での利用が拡がる中、MDM(Mobile Device Management)ツールやサービスが急速に普及している。では、MDMはなぜ必要か?なにができるのか? 自社開発のMDMサービスを展開するアイキューブドシステムが解説する。

モバイルファーストなMDMサービス「CLOMO」

 弊社、アイキューブドシステムズは、福岡に本社を置くITベンチャー企業です。2001年の創業当初は地場ソフトハウスとしての活動が中心でしたが、2007年以降はモバイルソリューションの製品・サービス開発へとビジネスの主軸を移し、現在ではMDMを含め、スマートデバイスの導入から活用までのすべての段階で必要な運用環境を提供するモバイルファーストプラットフォームサービス「CLOMO(クロモ)」を展開しています。

 弊社が提供するMDMサービス「CLOMO MDM」は、2012年のMDM市場でシェアNo.1(*)を獲得しました。導入実績は5500社以上、ライセンス数は30万以上と、多種多様な企業で日々利用されており、今もユーザー数は増え続けています。またMDM以外にも、スマートデバイス上でセキュアに利用できるビジネスアプリケーション群「CLOMO SECURED APPs」や、顧客企業に固有のビジネスニーズに応えるためのカスタムアプリケーションの開発など、モバイルテクノロジーをビジネスにより効果的に、かつセキュアに活用するためのさまざまなソリューションを展開しています。

(*)株式会社富士キメラ総研 「2013 法人向けスマートデバイス関連ビジネスの全貌 スマートデバイスソリューション市場をけん引するビジネスモデルの解明」をもとに、2012年サービス提供者別市場シェアを当社で独自に推定。

スマートデバイス導入の目的と成果とは?

 なぜ今、MDMがこれほどまでに注目を集めているのでしょうか。

 スマートフォンやタブレット端末は現在、爆発的な勢いで普及が進んでおり、個人向け市場だけに留まらず、法人向け市場にもおよんでいます。携帯電話よりもはるかに高機能で、かつノートPCより使い勝手や可搬性に優れるスマートデバイスは、ITリテラシーの低い従業員のICT利用を可能にし、社内のPCの前に座っていないとこなせなかった業務を、社外でも手軽に遂行できるようにします。これによって、従業員の生産性向上や、モバイルワーク・在宅勤務といった新たなワークスタイルの実現が期待されているのです。

 実際に、スマートデバイスの導入に踏み切った企業の多くは、その導入メリットを確実に享受できているようです。一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会が行なった調査「第一回スマートフォン企業利用実態調査レポート」(2013年3月12日)によれば、スマートフォンを導入した企業の約7割が、生産性の向上や在宅勤務の促進といった効果を得られているという結果が出ています。こうした趨勢を受け、まだスマートデバイスを本格的に導入していない企業でも、現在導入の検討を急ピッチで進めているところが多くなっています。

スマートフォン導入の目的と効果

スマートデバイス導入の最大の障壁とは

 スマートデバイスのビジネス利用には数々のメリットがある一方、特有のリスクも存在します。特に、セキュリティリスクに関しては、PC以上に気を配る必要があります。

 さまざまな業務データを端末内に保存し、手軽に社外へ持ち出して活用できるのがスマートデバイスの最大の魅力の1つですが、これは裏を返せばデバイスの紛失・盗難がそのまま情報漏えい事故につながりかねないことを意味します。また、どこでも手軽にインターネットにアクセスできることも、悪意のあるサイトの閲覧や不正アプリのダウンロードによるウイルス感染のリスクをはらんでいます。

スマートフォン利用時の不安要素

 会社支給、BYOD(Bring Your Own Device)等の利用形態を問わず、スマートデバイスのビジネス利用に踏み出すには、まずはこのセキュリティリスクを排除するところから始める必要があります。

PC以上にスマートデバイスも集中管理が必要

 スマートデバイスのビジネス利用に伴い発生する課題は、かつてPCが企業の業務現場に導入され始めた頃に持ち上がった問題ときわめて似ています。当初、PCは組織ごとに1台、あるいは数台という単位で導入され、社員はこれを共用していました。これだけ少ない台数であれば、管理担当者の目がしっかり行き届くため、個別に管理していれば事足りていました。

 しかし、徐々にPCの普及が進み、「1人1台」が当たり前になってくると、個別管理では人手がいくらあっても足りなくなってしまいます。そこで登場してきたのが、PCの利用状況を管理者が一箇所から集中管理できる「クライアント運用管理ツール」や、PC資産の運用状況をひと目で把握できる「資産管理ツール」、ネットワーク上のアクセス権限や認証を管理する「ディレクトリサービス」といったITソリューションです。今や、これらのソリューションはごく当たり前のものとして企業で利用されていますが、これらの登場によって初めてPCは企業で広範に利用できるようになったのです。

 同じことが今日、スマートデバイスの世界で起きています。当初は組織内で数台しか導入されなかったタブレット端末が、1人に1台支給されるようになる。あるいは、それまで社員に支給されていたフィーチャーフォンが、スマートフォンに置き換わっていく。徐々にスマートデバイスの台数が増えていき、その活用の幅が広がるにつれ、かつてPCでそうだったように、スマートデバイスも集中管理する必要性に迫られてきます。そして、そのための仕組みを提供するソリューションの1つが、MDMサービスです。

 現在、端末メーカー側でもMDMを意識した動きが出てきています。たとえば、2013年秋にリリースされる予定のiOS7では、MDMを介したデバイス管理をより行ないやすくするための各種機能が強化される予定だと言われています。ITベンダーやユーザー企業だけでなく、プラットフォームメーカーの間でもスマートデバイスのビジネス利用にMDMが重要であることは共通認識となりつつあります。

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