本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
映像のエクスペリエンスに欠かせない「あの要素」
Appleは音楽に続き映像でも成功を目指す……これは、iTunes Storeの展開を見ても明らかだろう。映画やドラマの購入/レンタルに対応することはもちろん、フルHDコンテンツの品揃えを強化する高画質化、独占インタビューやメイキング映像など付帯コンテンツの提供(iTunes Extras)と、質量ともに他のVODサービスと比べ遜色ないサービス内容と言っていい。
オーディオ対応も抜かりない。iTunes Storeが扱う映画タイトルの多くは、Dolby Digitalの5.1ch音声データを収録しているため、AVアンプやバー型スピーカーといったDolby Digitalのデコード機能を備える機器に適切な方法で出力すれば、迫力あるサラウンド音声を楽しめる。
しかし、オーディオ対応に関してはAppleという企業の「メリット」を生かしきれていないように思える。
Appleはハードウェアの会社でもあり、自らサラウンドシステムを提供することもできるはずだが、Macに付属のスピーカーは長年2chステレオのまま、最近のiMacやMacBook Proにはサブウーファーが搭載されるようになったものの、リアスピーカーがセットで提供されたことはない。Dolby Digitalのパススルーに対応しないiOSデバイスは、マルチチャンネル再生そのものを考慮していない節すらある。アクションやホラーなど、サラウンド音声が重要な役割を果たす映画の場合、大切な“エクスペリエンス”の機会をみすみす逃しているというものだ。
サードパーティー製品の力を借りれば対応可能なMacはともかく、現状のiOSデバイスでサラウンドを楽しむことは難しい。エンターテインメント方向へ振ったiOSデバイスが登場すれば話は別だが、現状ではどのようになるか不明だ。
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