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テレビ放送と「出会える」SPIDERの魅力

2013年07月25日 07時01分更新

文● 澁野義一(Shibuno Giich)/アスキークラウド編集部

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テレビ業界で話題のハードディスクレコーダーがある。その名は「SPIDER(スパイダー)」。1~2週間ぶんのテレビ放送全てを録画できる「全録機」的な機能を持った端末だが、それがSPIDERの本質というわけではない。SPIDERには、他社製のマシンとは一線を画す「思想」が隠されている。開発元のPTP有吉昌康代表取締役社長に話を聞いた。

 「テレビがつまらないと言う人は、単に面白いテレビ番組と出会えていないんですよ」。こう話すのは、PTPの有吉昌康代表取締役社長。ハードディスクレコーダー「SPIDER」を開発・販売するベンチャー企業を立ち上げた人物だ。

PTPの有吉昌康代表取締役社長(写真:三浦健司)

 SPIDERは、テレビに接続して1~2週間ぶんのテレビ放送の全てを録画する端末だ。現在は法人用の「SPIDER PRO」のみ発売しており、放送局や広告代理店など400社以上の導入実績を誇っている。

SPIDERのインターフェース。視聴履歴などから独自のアルゴリズムで抽出されたお勧めの番組が並ぶ

 もちろん、単に録画再生を目的としたマシンではない。SPIDERを特徴付けるのは、強力な検索機能だ。番組名や商品名、特定のキーワードなどで検索すれば、録画された全ての放送からCMや番組の該当するシーンまで一覧できる。

 例えば「武井咲」と検索すると、武井咲が出演したドラマやCMはもちろんのこと、武井咲本人が出演していなくても、武井咲について言及されているバラエティー番組の1コーナーまで、一度に閲覧できるのだ。

 では、どのようにしてこの機能を実現しているのか。有吉氏は、SPIDERの裏側では日本の放送史上初の仕組みが動いていると話す。

 「SPIDERは全ての番組内のコーナーとCMに、メタデータ(IDタグ)を付けて判別しています。例えば資生堂の『マキアージュ』のCMだったら、スポンサー企業名や商品名に加え、それが『15秒』で『武井咲』が出ていて『〇×篇』バージョンだ、といったテキスト情報を付けています」(有吉氏)。

 実はSPIDERは、日本の全都道府県に設置されている。東京や大阪で作成された放送やCMのデータは、各都道府県のSPIDERから送信された地域ごとのデータと中央のサーバーでマッチング処理され、同じデータがひも付けされる。これを応用すれば、「特定のCMが特定の県で1日に何本流れたのかも、調べようと思えば調べられます」(有吉氏)という。

マッチング判定の様子。「フィンガープリント」と呼ばれる特徴量でデータを自動判定しているが、差異が微妙なものは音の波形などで人が判別して映像同士の一致を確認している

 CMの検索は、日常生活にも有用な機能だと有吉氏は指摘する。「例えば炊飯器を買いたいと思っても、ネットでは情報があふれすぎていて、炊飯器のいまのトレンドや各製品のアピールポイントが分かりにくいです。しかし、SPIDERで各社の炊飯器のCMを検索して一挙に見れば、特徴も分かりやすく比較検討も簡単です」(有吉氏)。

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