HTCの雲行きが怪しい。フラッグシップの「HTC One」で挽回を図るはずだったのが、部品不足に見舞われ発売に遅れが出た。4月にやっと発売にこぎ着け、これから挽回といきたいところだが、幹部の流出に歯止めがきかず、体制整備に追われている状態だ。
HTC復活の使命を背負った「HTC One」
日本で今週末に発売される「HTC J One」のベースとなった「HTC One」は、HTCが2月に発表した最新のフラッグシップ端末だ。素材にメタルを利用したデザイン、クリアな画面、クアッドコアプロセッサーなど多くの特徴があるが、HTC Oneは単なるフラッグシップのハイエンド以上の使命を背負った端末だ。
ハイエンド向けのAndroidメーカーとしての座をSamsungに譲った後、HTCは業績の低迷が続いており、この流れを好転させたいという願いが詰まっているのだ。HTCのCEOであるPeter Chou氏は今年始め、自社製品の機能面での優位性が必ずしも適切な層にちゃんと伝わっていないことを認め、今年はマーケティングをしっかり行なっていく方針を明らかにしている。HTC Oneはその成果が試される最初の製品、という位置づけだ。
デザインやスペックなどHTC Oneの出来は良く、海外のレビューサイトでも高く評価されている。例えばPC Worldでは5段階評価中で4.25と高い評価を得ており、Samsungの「GALAXY S4」と並ぶレベルだ。
だが、3月に(Samsung S4の前に)予定していた発売日は延期され、SamsungのGALAXY S4の発売とバッティングしてしまった。日本と中国バージョンの見通しはたった(なお、日本と中国で用意されているmicroSDスロットは、グローバル版にはない機能だ!)ものの、重要な市場である米国では、最大手であるVerizon Wirelessからの登場はまだだ。エンジンフル回転とはいかないのが現状である。
そのような事情はあっても、出足は決して悪くない。HTCの幹部がWall Street Journalに語ったところによると、HTC Oneは発売後約1ヵ月で500万台を売り上げたという。ちなみに、SamsungのGALAXY S4は4月末のローンチから1000万台を販売しているとのこと。HTC Oneの2倍である。GALAXY S2が5ヵ月、同じくGALAXY S3が50日かかった1000万台を1ヵ月足らずで達成してしまった。GALAXY S4は決して安い端末ではない。それが世界で1秒ごとに4台も売れていると聞くと、Samsungの勢いはとどまるところを知らないと言うべきだろう。
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