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議論が苦手な日本人に

ザ・ハフィントン・ポスト日本語版は受け入れられるのか?

2013年05月15日 09時00分更新

文● コヤマタカヒロ

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「良質な言論空間」を構築するための取り組みとは?

 サービス開始からすぐ、政治家や著名人、有名ブロガーの記事が並んだザ・ハフィントン・ポスト日本語版。しかし、ザ・ハフィントン・ポストの最大の魅力となっているのは記事そのものだけではなく、投稿された記事をきっかけして議論が巻きおこることだ。

 このときに大切になってくるのが、コメントの品質の確保と、議論がネガティブにならないようにすることだ。ザ・ハフィントン・ポストでは、付与されたコメントを機械的な手法と人為的な手法の両方でチェック。コメントの品質をキープしているという。

ザ・ハフィントン・ポスト米国版より。現在、バッジにはさまざまな種類、レベルが用意されている。その仕組は臨機応変に変化していくという。

 さらに現在は、良質なコメントを投稿する読者に対して、「スーパーユーザー」などの称号を与えたり、バッジを付与することで、リピート率の向上やコメントを付けることへのモチベーションをアップする仕組みを用意している。

 この称号やバッジには肩書きは関係しない。学生でも有名人でも会社員でも関係なく、しかも匿名(スクリーンネーム)でコメントを残すことができるのだ。さらに読者はザ・ハフィントン・ポストにログインすることで、コメントをお気に入りに登録したり、コメント主のファンになることができる。これらの称号や仕組みにより、自分の発言に責任を持ち、マナーやモラルを守った発言が心がけられるのだ。

ジミー 「バッジなどのツールはこの2、3年すごく認識されてきました。これらは一般の読者の認められたという気持ちを形にしたものになっています。スーパーユーザーに認定されると、それだけの評価と責任を受けている以上、よりきちんとしたコメントを残さなければならないという意識が働きます。それが相乗効果を生み、上質な言論空間ができると考えています」

 この仕組みはまだまだ過渡期のようで日本語版でも継承されているが、日本語版の編集長である松浦氏は「仕組みはこの先どうなるかはわからない」とコメント。ライブなスピード感を重視するだけあって、時代やさまざまなニーズに合わせて変化していく可能性を示唆した。

 これまで一方通行がほとんどだった日本のネットメディアにおいて、この数年、ネット議論、ネット言論が盛り上がり始めている。このタイミングでのザ・ハフィントン・ポストの上陸は、まさにそれを象徴することだと言える。

 先週末にはアリアナ・ハフィントン氏と安倍首相の会談が行われ、それと同時に安倍首相のザ・ハフィントン・ポスト参加という記事がアップされた。今年の参院選は、ネット活動が始めて認められた新しい時代の選挙になると予想されているだけに、早くもザ・ハフィントン・ポスト日本語版は見逃せないメディアの一つとなったようだ。

 政治を初めとしたさまざまな課題の議論の場として、ザ・ハフィントン・ポスト日本語版がどのような立ち位置になっていくのかに注目が集まりそうだ。

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