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朝日新聞はハフィントンで何がしたいのか

2013年05月08日 16時45分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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7日、アメリカの巨大オピニオンサイト「ザ・ハフィントン・ポスト」日本版が、朝日新聞社との合弁でスタートした。狙いはハフィントンの集客力をもとに、朝日新聞デジタル版の読者層を厚くすることだ。しかし、朝日新聞社に必要なのは本当に「ハフポスト」なのか。


 「日本のメディアでは、コメントが“残念”と言われることが多かった」

 7日、アメリカの巨大オピニオン系サイト「ザ・ハフィントン・ポスト」日本版がオープン。日本版編集長の松浦茂樹氏は、日本のネットに抱いてきた率直な思いをそう語る。

 「ニュースにコメント欄はいらないのではないかと思っていたこともあった。しかし、ハフィントンは月間4600万人が800万以上のコメントを投稿している。ネガティブコメントは淘汰され、前向きに意見が作られる。これが日本でもできるのではないか。『ポジティブに日本の未来を語る場』を目標に、日本版を盛り上げたい」(松浦氏)

ハフィントン日本版 松浦茂樹編集長

 ハフポスト日本法人は、朝日新聞社との合弁企業だ。狙いはハフポストとコラボレーションすることで読者との接点を作り、読者層を厚くすること。

 「『新聞ってのは一方的だ、主張の押し付けだけではかなわん』、そう思われていたところがあったかもしれない」(朝日新聞社 木村伊量取締役)

 朝日新聞社は1995年からウェブ版の朝日新聞デジタルを運営し、「すでに言論空間をつくりあげる推進力はある」(木村取締役)という。

 気になったのは日本法人の堅さだ。

 「いかにしてユーザーを巻き込み、活発な議論を展開していくか。いかにオーディエンスのエンゲージメントを進めるか。ユーザーの動向分析をしたり、SEO対策をしていくか。ハフィントンでは、ニューズルームのどまんなかに編集者と技術者が肩を並べ、編集者に技術のフィードバックが与えられていく。ハフィントンに学ぶべき点は非常に多い」(ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン代表取締役 西村陽一氏)

 たしかに大事かもしれないが、鼻息荒く語るほどのことでもない。今や、3~4人の小さなブログメディアでも当たり前のようにユーザーの動向分析やSEO対策をして、ユーザーのエンゲージメントを高めるための努力を重ねている。18年間もデジタル版を運営してきた朝日新聞社にしては殊勝すぎるコメントだ。

 朝日新聞社に必要なのはハフポストではなく、インターネットのユーザーと正面から向き合うハフポストの風土を社内に取り入れ、新しい“普通”を学ぼうというポジティブな姿勢なのではないか。


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