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最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第1回

バランス駆動に対応した、ラックスマンのフラッグシップHPAを徹底試聴

P-700uほか、総額約100万円でヘッドフォンの世界を堪能した (2/5)

2013年06月16日 09時00分更新

文● 編集部

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フラッグシップ機がバランス駆動に対応し、デザインも一新

 今回取り上げるラックスマン(LUXMAN)のヘッドフォンアンプ「P-700u」(価格29万4000円)は、こうした音を追求するヘッドフォンユーザーにとって魅力的な選択肢となる。高級ヘッドフォンの性能を引き出すためには、高品質なソース、DACやプレーヤー、そして高い駆動力を持つアンプが必要になるからだ。

上が従来機種のP-1u、下が今回紹介するP-700u。外観も大きく変更しているが、まずは中央部分の端子に注目してみよう。

 P-700uは長く市場をリードしてきた同社のリファレンス機「P-1u」(価格18万9000円)の上級機という位置付けだ。アンプ部分の増幅にはODNF 3.0Aという独自の帰還回路を4チャンネルぶん内蔵。高級ヘッドフォン市場でここ1~2年、急速に話題を集めるようになった“バランス駆動”に対応した点が特徴だ。一般的なアンバランス接続でも、4チャンネルあるアンプ部分を2つずつパラレルに接続することで、出力電流の供給能力を倍に増やせる。駆動力の向上につながるという。

 バランス駆動、アンバランス駆動といわれてもよく分からないと感じる読者も多いだろうが、まずは製品を見てみよう。

フロント部分の端子にバランス駆動用の交換ケーブルを接続したところ。

 P-700uのフロント部分に注目すると、大きくてゴツイ端子が中央に2個対に置かれている点に気付くだろう。この端子は一体何に使うものか。中央の端子はXLRコネクターやキャノンコネクターなどと呼ばれるもので、スタジオにあるミキサーやマイクなどを接続するための端子と同じ形状だ。

 普通、ヘッドフォンにはポータブルオーディオやAV機器などで一般的なミニプラグ(直径3.5mm)か、楽器や単品のオーディオ機器などに多い標準プラグ(直径6.3mm)のどちらかが付いている(日本ではあまり見かけないが、携帯機器向けにより小さな直径2.5mmのプラグもある)。XLRの端子に対応したケーブルが、標準で付くヘッドフォンは現状ほとんど見かけない。

SRH1840とバランス駆動に必要な交換ケーブル(SHC-B300FSH)

 そのため、実際の接続では、ヘッドフォンのケーブルを変更(リケーブル)する必要がある。バランス駆動用の交換ケーブルは、ゼンハイザーの「HD800」や「HD650」、あるいはシュアの「SRH1840」といったケーブル交換に対応した、高級機種向けのものがいくつか販売されている。

 ステレオ再生に対応した通常のヘッドフォンアンプは左右1つずつ(合計2つ)のアンプを内蔵しており、スピーカーユニット(ドライバー)の片側にアンプ、もう一方にGNDに接続する。左右のユニットがつながるGNDは共有されており、アンバランス駆動という。バランス駆動に対応したアンプでは、左右に2つずつ(合計4つ)のアンプがつながっており、左右ユニットのGNDも独立している。GND(基準電位)の安定化、セパレーション(クロストーク)の改善、スルーレート(音の立ち上がりの速さ)の向上といったメリットがあり、これが音に反映すると言われている。

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