消費電力は微妙なところ
では消費電力のチェックに入ろう。計測は「Watts Up? PRO」を用い、PC起動10分後をアイドル時、バトルフィールド3テスト開始から10分後の値を高負荷時として計測する。同時にGPU温度も「GPU-Z」を利用して計測した。
HD7790は省電力機能の改良もあって、既存のGPUよりもワットパフォーマンスが向上したことが確認できたが、今回のGTX650Ti BOOSTにはそうした要素はなく、Kepler本来の省電力機能とカードの回路設計だけで勝負することになる。134Wと高めのTDPなだけあって、GTX660と高負荷時の消費電力は大差ないのが非常に残念だ。
週末特価などでGTX660が2万円近辺まで値下がりした場合は、ワットパフォーマンス面でGTX650Ti BOOSTはむしろ不利になってしまうだろう。
上のグラフは、3DMarkのスコアとバトルフィールド3の最高fpsを高負荷時の消費電力で割り、1Wあたりの数値に変換したものだ。3DMarkの場合はHD7790、バトルフィールド3の場合はGTX660がワットパフォーマンス最良となるが、どちらのテストにおいてもGTX650 Ti BOOSTのワットパフォーマンスは“良くもなければ悪くもない”という実に微妙なところにいることがわかる。
GPU温度
最後はGPU温度だ。GTX660と650TiはELSAの高性能静音クーラー使用なので直接の判断はできない。ただ高クロック化の影響によって特別熱くなる訳でもないことが確認できただけだ。
性能は優秀。あとは価格設定だけ
GTX650Ti BOOSTは目立った新要素はないものの、GTX650Tiと660の間にある大きな性能と価格のギャップを埋める非常にいいバランスの製品だ。ワットパフォーマンスではパッとしなかったが、ゲーム上のパフォーマンスではライバルの頭を見事に押さえつけ、新しいミドルクラスの定番になることだろう。
冒頭で述べた通りGTX650Ti BOOST搭載製品は1万9800円程度ということだが、オーバークロックやら強化クーラーが追加されると、限りなくGTX660に近づくことは確か。そこを各メーカーやショップがどう差をつけて販売してくれるか気になるところだ。そろそろ新しいゲームに挑戦したいが、手ごろなカードがないと考えていたなら、ぜひ手にとってみてはどうだろうか。旧世代の型落ちカードを買うよりも、ぐっと楽しめるはずだ。
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