3月22日、AMDはかねてからネットで噂されていた新GPU「Radeon HD7790」(以下、HD7790)を発表した。型番からわかる通り、既存のSouthern Islands世代のミドルレンジGPU、しかも「Radeon HD 7850」(以下、HD7850)と「Radeon HD 7770」(以下、HD7770)の中間に位置する製品となる。
AMDの新GPU「Radeon HD7790」のリファレンスカード
「今、このタイミングでなんと微妙なスペックのものを……」と感じるかもしれないが、実はHD7850とHD7770の間には、ちょっとやそっとのOCでは埋められない大きな性能と価格のギャップが存在する。実売1万3000円~1万5000円のHD7770の上は、実売1万8000円~2万2000円のHD7850にジャンプアップせざるを得ないのだ。このギャップをHD7790が埋めることができるのか、これから各種ベンチを通じて解明していきたい。
主要ミドルクラスGPUの性能比較。HD7850とHD7770の間には深くて大きな性能のギャップが存在する(テスト環境は後述)
データレート6GHz相当
新PowerTuneを搭載
まずはHD7790のスペックをその上下クラスと比較してみよう。28nmプロセス製造やGCNアーキテクチャーを採用しているなど、既存のHD7000シリーズと基本設計は同じだ。TDPは85W、6ピン1系統の外部電源だけで動作するという点も変わっていない。
| 各ビデオカードの比較表 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Radeon HD 7790 | Radeon HD 7850 | Radeon HD 7770 | ||||
| 開発コード | Bonaire | Pitcairn | Cape Verde | |||
| 製造プロセス | 28nm | 28nm | 28nm | |||
| ストリーミング プロセッサー数 |
896基 | 1024基 | 640基 | |||
| コアクロック | 1000MHz | 860MHz | 1000MHz | |||
| メモリ転送レート(相当) | 6GHz | 4.8GHz | 4.5GHz | |||
| 搭載メモリー | 1GB GDDR5 | 2GB GDDR5 | 1GB GDDR5 | |||
| メモリバス幅 | 128bit | 256bit | 128bit | |||
| TDP | 85W | 130W | 80W | |||
| 外部電源 | 6ピン×1 | 6ピン×1 | 6ピン×1 | |||
HD7790ではSP数を640基から896基に増やし、ジオメトリーとテッセレーションエンジンを2組に増やす(HD7770は1組)ことでも全体のスループットを上げている。ここまでならHD7850の縮小版だが、HD7800シリーズと差別化するためにメモリーバス幅は128bit、さらにメモリー搭載量も1GBと、それぞれHD7850の半分に制限されている。
しかし、ここで注目したいのはメモリーのクロックだ。HD7790では1500MHz動作、データレート換算で6GHz相当に設定されているが、これはHD7970 GHz Editionと同じ設定だ(もちろんクロックだけだが)。
さらにHD7790には新要素も存在する。それは負荷に応じてコア電圧やクロックを可変させる「PowerTune」の改良だ。従来のHD7000シリーズでは、アイドル状態からブースト状態になるまで4段階のステージが設けられていたが、HD7790では8段階にアップ。各ステージを10msで遷移させることで、その時点で最適な電圧やクロックで動作することを狙っている。アーキテクチャー自体のワットパフォーマンスは変えられないが、電力管理を細かくすることで少しでも改善しようというわけだ。
このPowerTune改良のため、HD7790は既存のHD7850の回路を少し無効化して安く出したGPUではなく、HD7790用として新規に起こされたシリコンを使っている。“破棄するチップが多いから細工して出した”ではなく、この価格帯に合わせた最適な設計のものを作った、ということだろう。
検証用にSAPPHIRE製ビデオカードを入手
今回は、オーバークロック仕様のSAPPHIRE製ビデオカード「HD7790 1G GDDR5 PCI-E DL-DVI-I+DL-DVI-D/HDMI/DP DUAL-X OC VERSION」を入手したので、このビデオカードでHD7790の性能を探ってみよう。
今回入手したHD7790のサンプルカードは、コア1070MHz相当、メモリーは6.4GHz相当にオーバークロックされた、かなりパフォーマンス志向の強い製品だ。
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