このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

CLOUD CENTER for Windowsで構築するプライベートクラウド 第3回

CLOUD CENTER for Windowsで情シスはなにを得る?

移行でどこが変わった?ビットアイルにクラウド移行を聞く

2013年03月01日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ビットアイルのプライベートクラウドサービス「CLOUD CENTER for Windows」について徹底解説する企画。3回目は、クラウドへの移行がテーマ。実際に社内システムをクラウド化したビットアイルの情シス担当に話を聞いた。

Windowsクラウドのメリットを自ら体感

 前回までで、社内のWindowsサーバーをプライベートクラウドに移行するメリット、そしてその現実解としてビットアイルの「CLOUD CENTER for Windows」を紹介してきた。CLOUD CENTER for Windowsで構築したプライベートクラウドをマイクロソフトの運用管理ツール「System Center SP1」で管理することで、運用負荷の軽減や自動化がどこまで進むのか、理解できただろう。

 運用管理の手間を減らし、システムリソースを柔軟に変化させつつ、セキュリティや可用性といったエンタープライズのシステム要件を満たすプライベートクラウドは情報システム部にとって魅力的だ。そして、実際に社内のWindowsサーバーをクラウド化することで、こうしたさまざまなメリットを享受しているのが、ほかならぬビットアイルである。

 ビットアイルは2012年8月にグループ会社のシステム更新を機に、オンプレミスの社内システムを順次クラウドに移行中だ。グループ全体の基幹システムのほか、ワークフロー、グループウェア、認証サーバー、その他業務システムなどを仮想化し、CLOUD CENTER for Windowsのプライベートクラウド基盤に載せた。顧客に勧めるシステムということで、まさに社内サーバーのクラウド化を実践しているのだ。

ビットアイル 情報システム室 川田秀明氏

 ビットアイル 情報システム室 川田秀明氏は、クラウド移行の背景として障害対応の負荷を挙げた。「物理サーバーは必ず故障します。このサーバーの障害対応が年間の工数で見ると、けっこう大きいんです」(川田氏)。また、ITリソースの新規調達をスピードアップしたいというニーズもあった。「社内プロジェクトでサーバーがほしいと言われても、案件ごとに稟議を書いて、調達まで含めると1ヶ月かかっていました」(川田氏)とのことで、必要なリソースを迅速に提供できるインフラが必要だったという。

 ポイントはクラウド事業者だからということで、安易にクラウド化したわけではないことだ。最近はクラウド化自体が目的となることも多いが、ビットアイルでは経営課題とIT課題を洗い出し、なんのためにクラウドを導入するかという議論を社内で行なったという。その結果として、BCPの強化やクラウドの特性を活かしたサービスのクイックスタート、そしてサービスに合わせた柔軟な環境作りなどを実現すべく、CLOUD CENTER for Windowsという選択になったわけだ。

オンプレミスの社内システムをクラウドへ

 こうした背景から、同社では従来のWindowsサーバーをHyper-Vで仮想化し、System Centerによる管理が可能な自社のプライベートクラウドに移行した。2012へのバージョンアップではなく、Windows Server 2003 R2や2008 R2などのサーバーをそのまま仮想化したので作業はシンプルで、1ヶ月かからずに作業は完了。仮想マシンの管理を行なうSystem Center Virtual Machine Managerはもちろん、監視やバックアップなどもSystem Centerを使っているという。

高い堅牢性を誇るビットアイルのデータセンター

 導入して間もないが、川田氏は「以前は、サーバの設置やメモリの増設、または物理的なサーバ障害時などには必ずといっていいほど、データセンターに足を運んでいましたが、System Centerにシフトしたことでそれがなくなりました」と、クラウド導入後の変化をこう語る。課題だったプロジェクトへのリソース提供も、プライベートクラウド化により、納期が短縮されたほか、検証機の動作が他システムのパフォーマンスに影響を与えなくなったという。運用管理に関しては、今まで別々のツールでやっていた監視やバックアップが統合された点を評価している。「特定のタイミングにまで戻せるので、仮想サーバーのスナップショット機能は重宝しています」と語っている。

(次ページ、ビットアイルが考える理想のクラウド移行)


 

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード