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Windows Server Cloud Day 2012基調講演レポート

クラウドの技術をコモディティ化するWindows Server 2012

2012年06月01日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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5月31日、日本マイクロソフトは東京都内で“Windows Server Cloud Day 2012”を開催した。基調講演では、4月にリリースされた“Microsoft System Center 2012”と、次期Windows Server“Microsoft Windows Server 2012”に焦点が当てられ、マイクロソフトのクラウドに対する取り組みが紹介された。

クラウドとオンプレミスのシームレスな管理

 日本マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役 本部長の梅田 成二氏は、「Windows Server 2012とSystem Center 2012が実現する、次世代クラウドプラットフォームの全貌」と題して基調講演を行なった。内容的には、6~7割が“System Centerによるクラウドとオンプレミスのシームレスな管理”に割かれ、Windows Server 2012の比率は低かった印象だ。

日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役 本部長 梅田 成二氏

 同社のクラウドに対する認識としては、パブリッククラウドと、社内のプライベートクラウド/オンプレミス環境との間で「ID管理」「仮想化」「管理」「開発」の4要素に関しては共通であるべきだ、という考え方が語られた。この4つが共通であれば、パブリッククラウドとプライベートクラウドを統合的に扱うことができるわけだ。それを踏まえ、System Center 2012ではクラウド環境とオンプレミス環境を統合的に管理する機能を強化していることが紹介された。ポイントとなる要素は、「サービス化・自動化」「管理対象の広さとインサイト」「ハイブリッドクラウド管理」の3つとなる。

System Centerの管理対象は、従来の「PCとデバイス」だけでなく、2012ではプライベートクラウドとパブリッククラウド、その両者が統合したハイブリッドクラウドまでカバーされる。

 System Center 2012では、ランブックオートメーションによるインテリジェントな自動化機能が実装されており、“ITのサービス化”を支援する。単に、決められた手順通りに処理を自動的に起動する、というレベルではなく、処理が正しく実行できたことをチェックし、失敗していたらそのリカバリーまでを行なうことができる。この点を同社では「自動化を管理するレベルまで」と表現している。クラウド環境では、高度な自動化が運用管理の鍵となるのは明らかだ。System Center 2012では、従来の“社内システムの効率的な管理”というレベルから“社内のIT管理者が目を配るべきあらゆるリソースを統合的に管理する”というレベルに進み出しており、次期Windows Serverのリリースを待たずにいち早くクラウド対応を実現したと言えそうだ。

ストレージ管理を充実させた新Windows Server

 次期Windows Serverである“Windows Server 2012”は、Windows 8と同様にまもなくRC版が公開されるというタイミングだが、今回はお祭り的な盛り上がりよりはむしろ淡々と準備を進めているという印象が強かった。導入/検証作業に時間が掛かり、かつ一度構築されたシステムが比較的長期間運用を続けられるサーバー環境で使われるOSであることを考えれば、現行バージョンであるWindows Server 2008 R2のリリースからまだあまり時間が経っていないことも移行を急ぐ雰囲気にならない理由かもしれない。

 今回紹介されたWindows Server 2012の開発コンセプトは、「パブリッククラウドの技術を学び、コモディティ化を実現」というものだ。クラウドサービスとして実現された新たな機能やサービスをWindows Serverに背局的に取り込み、標準機能にしていく、という意味になるだろうか。その具体例として、基調講演の中でストレージ仮想化機能のデモが行なわれた。

Windows Server 2012では「パブリッククラウドから学び、コモディティ化を実現」するという

 Windows Server 2012の“記憶域プール”は、容量の異なる複数のストレージを仮想的に統合して大きな仮想的な領域に統合できる。この記憶域プールから任意のサイズの“仮想ディスク”を切り出して利用できる。しかも、シンプロビジョニングも可能で、実際に構成されている記憶域プールのサイズを超える仮想ディスクを設定することができる。残り容量が少なくなってきた場合は、システムに新たなディスクを追加し、簡単な操作で記憶域プールに追加することで即座に仮想ディスクで利用可能な容量を増加でき、仮想ディスクを作り直すような手間はない。

 下のデモの例では、130GBの単一ボリュームが生成可能だ。一方、記憶域プールから実際に利用するための“仮想ディスク”を生成する際にも容量の制約を受けないので、図の例では記憶域プールのサイズを大幅に超過する20TBと40TBの2つのボリュームを作っている。仮想ディスクにデータを書き込むと、実データ量に相当する分だけ記憶域プールの物理ディスクが消費されていく。

ディスク仮想化の簡単な紹介。多数接続されたHDDを統合して“記憶域プール”を作れる。

 また、ストレージデータの重複除去も実装されているため、データの内容によっては大幅な容量削減が可能になる。記憶域プールはソフトウェアRAIDの応用で実現できるだろうし、シンプロビジョニングや重複排除はエンタープライズストレージではもはや一般的と言ってよいほど広く実装されている技術だ。単体で見ると技術的な目新しさがあるわけではないが、OSの機能として標準実装されれば誰でも使える状況になるわけで、まさに“コモディティ化”と言える状況になるだろう。

 基調講演では特に言及されなかったが、Windows Server 2012ではHyper-Vも大幅に進化を遂げているなど、機能面ではクラウド環境を支えるプラットフォームOSとして着実に進化していることは間違いない。

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