ブルーの色が目新しい!
低音を強化したシュア「SE215SPE」
シュアが12月中旬に発売予定の「SE215SPE」(実売価格1万円前後)は、同社のカナル型としては唯一のダイナミック型ドライバーを採用した「SE215」のスペシャル版。
ダイナミック型の「MicroDriver」の採用など、基本的な仕様は同じだが、音質チューニングによりさらに低音の再現を強化している。イヤーピースの色は透明なブルーとなっており差別化が図られているのも特徴だ。
イヤーチップは素材がウレタン・フォーム、ソフト・フレックスの2種付属し、それぞれ3サイズずつセットになっている。コードが着脱式で交換できるようになっている点は同社のカナル型ヘッドフォンと同様だ。
イヤーピースのサイズはSE535などと比べると一回り小さい印象で、耳の中への収まりもいい。標準であるウレタン・フォームも一度指で潰してから耳の穴に押し込むと中で広がりピタリとフィットする。コードは上から耳の裏側を通す「Shureがけ」なので、最初のうちは慣れが必要だ。
装着イメージに誤りがあったため画像を削除しました。お詫びして訂正いたします(2012年11月22日)
低音は量感たっぷり!! ホットでエネルギー感が伝わるサウンド
音質評価
- 解像感 :★★★
- ボーカル:★★★★★
- 低音 :★★★★
- 音場感 :★★★
特別チューニングされた低音の再現は量感たっぷり。しかし、ボコボコになるほどではなく、リズムのキレや音の勢いも良好だ。
ポップス曲は男性のボーカルが低音のパワーに埋もれることなく、クリアに再現され、勢いのいいエネルギッシュな質感で再現された。ポップスのようなリズムのキレやメロディーの美しさをノリノリで聴けるという点では相性はかなりいい。
ジャズはウッドベースの胴鳴り感は堂々としており、弦を弾く音も多少太めにはなるが音階が不明瞭になることもない。トランペットの勢いのある音の出方など、熱気の伝わる演奏だ。クラシックは細かな楽器の音色の再現など、細かな再現がもう少しほしかった。ただし、大編成のオーケストラの雄大さや力強い音圧感などはなかなかのもの。
アニソンは声のニュアンスや力を込めて歌う調子の変化などもよく出る反面、ややにぎやかな再現になってしまった。コンプレッションを強めにかけた楽曲のせいもあり、元気はいいが、少し荒っぽさも感じた。
■Amazon.co.jpで購入
1万円で買えるモデルはいずれもなかなか素性はGood!
真面目に練り上げられた音が楽しめる
上記の3モデルは、今回の特集で紹介する中ではもっとも安価な価格帯で、低音再生を重視したものでありながら、いずれも正統派の音作りだったのは意外だった。
単純に低音のパワー感や力強さで決めるならばシュアのSE215SPEが一番。音の細かな再現は一番穏やかになるものの、トータルのバランスがよかったので不満は少ない。今時的にもNo.1としたい。
オーディオテクニカとデノンは解像感の高さは互角。個々の音の正確さではオーディオテクニカだが、音の響きや奥行き感の再現などではデノンとなる。
低音はどちらもタイトな再現なので、量感たっぷりの低音が好きという人は事前に実際に聴いて確かめた方がよさそうだ(オーディオ的に正しい方向の低音再生だとは思うのだが……)。
面白かったのは、いずれもアニソンがあまり好ましい印象ではなかったこと。どのモデルも、歯擦音(サシスセソの音)が耳に付きやすい傾向はある。高域をキリっと立たせる演出を加えたことが相性の悪さの原因かもしれない。
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