レノボ・ジャパンは4日、NECレノボ・ジャパングループ発足1周年記念の記者会見(関連記事)で、現在中国など海外で生産されているThinkPad製品の一部を、秋以降NEC PCの米沢工場のラインでパイロット生産すると言及した。
国内の企業ユーザーに対して、短納期で製品を提供するのが狙い。合弁会社設立後、調達コストの低減、レノボ製品のサポート業務の移管やテレビ視聴・録画機能(SmartVision Light)の搭載など、積極的に協業体制を敷いている両社。現時点では試験的な取り組みだが、大和研究所で開発され、国内で生産される純日本生産のThinkPadが今後流通していく可能性がある。
ダイレクト販売や法人向けPCでは、発注時にハードウェアの仕様やOSイメージなどを変更できるCTOに対応するのが通常だが、メーカーの多くは海外に生産拠点を持つため、納品まで少なくとも1~2週間を要するのが一般的だ。
そんな中、日本ヒューレット・パッカードのように、ビジネスノートの生産拠点を東京昭島の自社工場に移し、標準5営業日での出荷に短縮する(関連記事)など、具体的な施策を提示する企業も出てきている。これが一因になったのか、日本HPは5月に発表されたIDC Japanの調査レポートでは、国内上位5社のうち最も高い前年同期成長率(29.4%)を示している。
「他の競合ベンダーは中国市場にフォーカスしているが、IDCの調査ではレノボは中国市場で32%のシェアでトップ。相対的に日本など中国以外の市場が重要になってくる」とレノボは話す。ThinkPadを米沢工場で生産するのも国内企業が求めているニーズを検討し、それに応えるのが目的だ。納期の短縮に加え、サポートや利便性といった部分での顧客満足度向上を図る。
現在レノボは世界2位のPCメーカーで、2月には全世界向けのコマーシャルPCとコンシューマー・デスクトップの分野でトップ・メーカーになったと発表している(関連サイト)。特に、ThinkPadシリーズは企業向けPCに求められる堅牢性や高信頼性といった部分に特化し、国内における存在感をさらに高めたい考え。