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2年連続の女王戴冠なるか? 5年目のミクGTプロジェクト 第25回

GSR関係者インタビュー最終回

清濁併せ呑む! 安藝社長が見据える初音ミクGTの未来

2012年07月03日 18時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部

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アクシデントと優勝という波乱のレースだった富士

──富士戦優勝おめでとうございます! まさかこんなに早く優勝できるとは……

安藝 やっぱり谷口選手と片岡選手はすごいね! 正直、序盤は順位の変動が多くて、よくわからなかったんですよね。

──たしかに! レインタイヤに交換するためにピットインしたチームも多いですし、ドライバーの2回交代が義務づけられていたのもあって、ピットの回数が多くてスタンドで見ていたファンとかはGSRの実況だけが頼りだったと思います。

安藝 こういう長いレースを、みんなで一緒に楽しむのは格別ですよね。それに富士の500kmって初音ミクGTプロジェクトが始まって初なんですよ。それを優勝で飾れたなんて。

──ピットインのタイミングというか、作戦勝ちでしたね!

安藝 そうですね、他のチームが最初のピットインの段階でドライバーを変えたところってほとんどなくて、われわれだけでしたから。チームがしっかりと戦略を立て、それを任せられるドライバーなんだってことを見せつけられましたねえ。谷口選手のぶつけられてからの、キレた走りがとんでもなくて(笑)。名実ともに彼はスターですよ。

ドライバーの腕も大きいが、チームの的確な作戦が功を奏した

──去年はクルマの速さで勝ってた部分もありましたが、今年は初戦の岡山もそうですけど、作戦勝ちというレースとしても面白い勝ち方ですよね。

安藝 これ以上ない上出来でしたね。僕らも経営者だから、いつも自分が持っているリソースを考えながら勝負しているわけですが、これほどまでにハマるってのは、僕が生きてきた中でもそうそうないんですよ。年間を通してのレースなので、まだまだ油断はできませんが、1戦目も含めて取りこぼさなかったのは良かったかと。

2011年にチャンピオンに輝いたことで、BMWの本国ドイツからエンジニアが派遣されるなど、待遇も変わった。2008年の参戦初年度にこの展開を予想できた人はいただろうか?

──4号車はクラッシュするなど大変な状況の中、無事に完走しましたが、安藝さんから見ていかがでしょう?

安藝 クルマも長距離を走り切れて、ドライバーもクルマに慣れることができたという意味では安心しました。本人たちが慣れたと言ってからのラップタイムも安定してましたし。GT500と絡んだときのタイムの落ち方は谷口・片岡コンビの熟練感にはかなわないですが、自信を取り戻してきたというか、目に生気が戻ってきましたよね(笑)。

番場選手が予選日のそれも練習走行1発目でハードなクラッシュをしてしまい、安藝社長もだいぶご立腹だった

──そうですね。佐々木選手も乗り方に悩んでましたが、徐々にわかってきてタイムが上がっていくという、まさに2010年を見ているかのようでした。

安藝 そのタイムを見て、番場選手に火が付いたらしく、「後半はプッシュしていいですか?」って聞いてましたからね。そういう前を追いかけるという姿勢はドライバーとしても非常に大事ですし、焦りとか悔しさなんかを前向きな力に変えていくっていうのも、去年谷口選手から学んだことなんでしょうね。まだまだやらなければいけないことは多いですが、そろそろ自分でも掴んでいかなくてはいけない。例えば今回の雨、谷口選手は「よっしゃ!」ってなりました。誰もが苦しい状況で、自分が頑張れば周りを出し抜けるチャンスだ、という発想なんですね。自分を低い位置におかず、状況が悪いなら逆に利用してやれという、気持ちの問題なんです。

2012年の思い出として、間違いなく語り継がれるであろう、寄せ書きボンネット

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