小米の最新スマホは10分で15万台が完売
最近登場した「小米青春版」なる製品は、W-CDMAに対応し、同じくSnapdragon MSM 8260を採用。クロック数は1.2GHzとM1より低いが、値段は1499元(2万円弱)とかなりお安くなっている。
発売日は今月18日だったが、わずか10分で15万台の予約販売枠が埋まり、販売は終了したという。もちろんユーザーも買っているが、携帯電話販売店も多数予約購入しているようで、リアルショップでマージンをつけて販売している。
ハードウェアメーカーでもない企業が参入できたのは鴻海(ホンハイ)や英業達(インベンテック)などに生産を任せているため。ハードウェアで特に差別化するような設計はしていないため、いわゆるノンブランド機である「山寨機」と変わりない。
これを十万台、百万台単位で発注しているためこの価格を実現できたという。これにAndroidベースのカスタムROM「MIUI」を入れてオリジナリティーを出している。こちらはMIUIのオフィシャルページを見るに、売れずコンシューマーには使われることもなかった過去の中国製Linuxとは異なり、中国人ユーザーのことを考えたものになっているように思う。
小米の成功に続く中国企業
1社が成功すれば、他社が必ず同じような製品を出してくるのが中国のお約束。冒頭に紹介したように、今後、百度や騰訊らがホンハイなどEMS企業と提携し、1000元台のレンジでハイコストパフォーマンスの製品を投入してくる。
しかも激安チップを市場に投入した山寨機を普及させた台湾のMediaTek(聯発科技)がデュアルコアCPU「MT6577」を投入してくる。各社がAndroidのカスタマイズROMを投入してくるので、この辺も人柱としての楽しみのひとつとなろう。
今までは国際的ブランドを気にするiPhoneやGALAXYやXperiaなどを利用する層と、キャリア縛りで1000元以下でロースペックなスマートフォンを導入する層がスマートフォン購入の2大勢力のように感じていた。
今後は今回紹介した「中国企業によるハイコストパフォーマンス」の製品が間に入ってくるだろう。数十万台単位で発注する企業同士のチキンレースにMediaTekが参入することで、どこまでそこそこのパフォーマンスのスマートフォンが値下がりするか、またどのようなカスタムOSで差別化を図ってくるのか、興味深いところだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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