中国で、セキュリティベンダーのキングソフト(金山軟件)の元CEOが立ち上げた「小米」という企業と、検索サイトの「百度」やオンラインショッピングの「アリババ」、チャットソフト「QQ」で知られる「騰訊(Tencent)」、さらにセキュリティベンダー「奇虎360」の間で新たな戦いが勃発している。
これはポータルサイトやサービスの戦いではない。小米を皮切りに、各社がこれからスマートフォンをリリースするため、すでにミニブログ「微博」で各社が舌戦を繰り広げているのだ。
中国メーカーの製品は概してクオリティーが低く、評価は低いと思われがちだが、実はヘビーユーザーを中心にそこそこの評価を受けている。
特に小米はIT系ポータルサイトの人気ランキングで10位以内に入る人気ぶりだ。中国メーカーのスマートフォンが各社からリリースされ、人柱的なユーザーが増える中で、人から人へ口コミで「中国メーカーのものでも問題がない」と認識されたため信用されている。テレビやPCも中国製が売れているが、これにも同じ安心感がある。日本にも本格的に進出している。
IT系ポータルサイトの中関村在線によれば、現状人気のスマートフォンのメーカーは「サムスン(23.2%)」「HTC(15.7%)」「ノキア(11.8%)」「モトローラ(9.1%)」「ソニー(7.3%)」「アップル(7.1%)」「レノボ(3.9%)」「ファーウェイ(3.9%)」の順。ここにさらに中国のこれまでハードに無縁だったソフトベンダーが参入する。
すでにスマートフォンをリリース済みの小米は、8位のファーウェイに続く9位(2.7%)となっている。少なくともイロモノの扱いではない。
小米の製品の魅力は、値段が安い割にコストパフォーマンスが非常に高いこと。
W-CDMA版とCDMA2000版がリリースされたデビュー作「小米M1」は、クアルコム製の1.5GHzデュアルコアCPU「Snapdragon MSM8260」を採用し、1GB RAM+4GB ROMにFWVGA(480×854ドット)のディスプレーを搭載して1999元(約2万6000円)である。
Snapdragon MSM 8260の採用機種は日本ではソニーの「Xperia NX」や「Xperia acro HD」、それにNECカシオの「MEDIAS」などが挙げられる。このクラスの性能のスマートフォンが2万6000円である(もちろんキャリア縛りはない)。そのコストパフォーマンスから昨年8月からの1年弱で200万台が売り切れた。
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