ゴノレゴが人気になりすぎて
―― ゴノレゴが人気になると、ファンの期待も高まってきますよね。
ポエ山 それがぼくいちばん苦手で……。
―― え、苦手なんですか。
ポエ山 ファンとの付き合い方っていうのが分かんなくて。期待されているとぜんぜんちがうことをやりたくなる、みたいな。ゴノレゴも4つくらい作ったあと、あまり作らなくなって。
―― なるほど。その時期はゴノレゴ以外を作ってたわけですか?
ポエ山 quinoの第2話を。ゴノレゴばっか有名になったけど、本当はやりたいのはこっちなんです、ということで。それをCGアニメコンテストに投稿したところ賞をもらい、なんとかアニメで食っていけるようになった、というのが2002年の話です。
―― 22歳のときですね。そこから7年間、29歳のときまで、自主制作アニメをほとんど作られていません。このときはお仕事が忙しかったんですか?
ポエ山 ゴノレゴが有名になりすぎてしまって……。
―― 有名になりすぎた、というと。
ポエ山 ちょっとしたお遊びのつもりでつくったものが、思いのほかすごい有名になってしまったので、面白いものをつくって有名になりたいとか、反響がほしいみたいな欲求が、あんまりなくなってしまった時期があったんです。
―― ゴノレゴについていけなくなってしまった?
ポエ山 最初ウケたときはものすごくうれしかったんですけど、だんだん自分の手を離れていって。「FLASHといえばゴノレゴ」みたいな時期があり、FLASH板の看板(バナー)までゴノレゴになってしまった。そこまでいくとプレッシャーもあって、次にどうすればいいのか分からない、という感じになっていきまして。
―― へええー。そんなことが。
ポエ山 代わりに、仕事をしてその対価をもらえるとか、社会の中で自分の作品が使われるとか、そういう方に喜びを見出していったんですね。いま、仕事では(自主制作とは)ぜんぜん別の、子供向けのものをやっています。Eテレの「シャキーン!」で「10人スポーツクイズ」という、ドット絵で動体視力を養うクイズを作ったりしているんですけど。
―― それもそれで面白そうです。ゴノレゴがなかったらまったく別の人生を歩んでいたかもしれないですね。