Beatsヘッドフォン用に最適化したイコライザー設定を完備
AVライターも唸るBeats Audioの実力「HP ENVY15-3000」
2012年04月26日 11時59分更新
ボーカルの鮮明さが印象的な
パワフルで勢いのあるサウンド
まずは、内蔵スピーカーでその音の実力を確かめてみよう。CDの「ラニー・レイン/トゥー・ザ・ホーセズ」を再生してみると、鮮明なボーカルが元気よく浮かび上がった。
ボーカルは鮮明で定位感もなかなか良好。キーボードに手を置いた実際の使い方に近い距離で聴くと、画面から浮かび上がるようにボーカルが定位する。画面との音の一致感も良いので、音楽だけでなく、映画再生も爽快な音を楽しめそうだ。
ズシッとしたベースの低音はさすがに少々もの足りないが、軽快でキレ味の良いサウンドだ。パワフルでありながら、コケティッシュな魅力もたっぷりのボーカルは、キラキラと輝きのあるサウンドで再現される。
ノートPCの内蔵スピーカーというと、どうしても非力な印象に感じやすいことが多く、音量を上げるとシャカシャカとにぎやかになってしまいがち。しかし、本機の場合は、音量を上げなくても音がクリアーで聴き心地がいい。
Beats Audioソフトウェアでは各種の音質調整も可能。グラフィックイコライザーは65/125/250/500/1k/3k/6k/9k/12kHzの9バンドで細かく調整でき、これに加えて低域と高域のブースト、センター音像のバランス調整やステレオ再生の左右の広がり感を調整することもできる。
音楽用、映画用に調整ができるので、ステレオ再生ではセンター音像を強めるとか、映画のサラウンド再生では広がり感を豊かにするといった調整も行なえる。
ヘッドホン出力はさらにパワフル!!
音楽が間近に迫ってくるようなサウンド
ノートPCを使った音楽リスニングではメインのスタイルと言えるヘッドホンだろう。そこでヘッドフォンを使った試聴も試してみた。
Beats Audioソフトウェアには、Beatsのヘッドホン用の調整されたプリセットメニュー(ActivNR/In-ear/Passiv)も用意されているので、それらのヘッドホンを愛用している人なら、さらにBeatsの魅力をたっぷりと味わえるだろう。ただ、筆者はBeats Audioのヘッドフォンは持っていないので、試聴では筆者所有のSHURE SRH940を使用している。
ヘッドフォンのサウンドはスピーカーで聴くよりもさらにパワフルだ。内蔵スピーカーでは不足気味だった低音もよく伸び、ドラムスやベースの重量感もしっかりと味わえる。高域のキレの良い再現はまさにBeatsらしいサウンドで、ひとつひとつの音のエッジが立ち、元気いっぱいの音で再現される。聴いているうちに自然と身体が動いてしまうような、ノリの良い音だ。
アニメの名曲をジャズ/アレンジしたラスマス・フェイバーの第3作から、「ルパン三世 愛のテーマ」を聴くと、ボサノバ調にアレンジされたロマンチックなメロディと、ムードたっぷりのボーカルが、厚みのあるリッチな音色で再現された。
Beatsのサウンドは、たっぷりとした重厚な低音と、輝くような勢いのある高音という傾向で、ビートの激しい音楽向きという印象があったが、ゆったりとしたリズム感の再現も上手だ。低音がしっかりと出るので、ボーカルにもさらに余裕が感じられ気持ち良く音楽を楽しめる。
正統なHi-Fiサウンドとはひと味違う、音楽の楽しさを存分に味わえる個性的なサウンドは、Beatsファンでなくても魅力的と感じる。また、比較的小音量で再生していても音が痩せずに、パワフルさをしっかりと味わえる内蔵スピーカーの音もノートPC用としては使いやすいだろう。
HP ENVY15-3000のサウンドは、PCの音質にこだわる人にとっては、かなりの注目の存在と言える。音楽をノリノリで楽しめる個性派サウンドで、快適にPCオーディオを楽しんでほしい。