本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
近距離無線通信規格「Bluetooth 4.0+HS」
「iPhone 4S」と新「iPad」には、近距離無線通信規格「Bluetooth 4.0+HS」が採用されている。ほかのスマートフォンやPCの対応状況を見回しても、ほぼ最新の規格を積極的にサポートしているといえる状況で、iOSデバイスにおけるBluetoothの位置付けが重要であることがうかがえる。
このBluetooth 4.0+HSという言葉は、表記としては正確ではない。従来に比べ大幅に省電力化された「Bluetooth 4.0」と、最大24Mbpsという高速通信を実現した「Bluetooth 3.0+HS」の両規格をサポートするという意味であり、それぞれの特徴を理解すべきだろう。
Bluetooth 4.0は、「Bluetooth LE」(Low Energy)という別名もあるように、省エネルギー性を追求した規格。通信速度は最大1Mbpsと控えめだが、ごく短時間に通信を完了したあとは待ち受けに徹することで、バッテリー消費量を大幅に減らすことに成功している。2009年12月の策定以降しばらくはコンシューマー機器における採用事例を見かけなかったが、今年3月にボタン電池ひとつで2年もつというカシオの腕時計「G-SHOCK GB-6900」が発売されるなど、対応デバイスがにわかに増え始めた。
一方のBluetooth 3.0+HSは、高速通信に振った規格だ。通信速度は最大24Mbps、これまで主流だったBluetooth 2.x+EDR(非対称型通信時、下り2178.1kbps/上り177.1kbps)に比べ、格段に速くなった。実効速度はそれより下がるが、ますます高解像度化/大容量化が進む写真などのデータも扱いやすくなったことは確かだ。
iPhone 4Sおよび新iPadで「Bluetooth 4.0+HS」を採用したことは、アップルの製品戦略の一部を読み解く鍵となる。ソニーが独自開発したTransferJetのように、高速な超短距離型の近接無線技術も普及しつつあるなか、Bluetoothを選択した理由はどこにあるのか。次項、ファイル転送テストを通じてそれを探ってみよう。
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