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「Winny裁判」担当弁護士に聞く

MEGAUPLOAD事件、SOPAとの関係は?日本も影響ある?

2012年01月25日 19時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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megaupload.comにアクセスすると、米司法省の警告文が表示される

 米当局は19日、MEGAUPLOAD(メガアップロード)社が同名のオンラインストレージを通じ、著作権法に違反した行為で巨額の利益を得たとして、ニュージーランド在住のCEOキム・ドットコム(本名キム・シュミッツ)容疑者を含む関係者7名を逮捕した。現在メガアップロードは停止している。同様のサービスを提供していたFilesonicもサービスを停止した。

 逮捕の背景には、現在著作権関連法案の「SOPA」(オンライン海賊行為防止法案)および「PIPA」(IP保護法案)が審議中であることが指摘されている。前日の18日にはWikipediaなどの大型サイトによる同法案へのシュプレヒコールも上がっていた。現在その動きに呼応する形で、国際的ハッカー集団Anonymous(アノニマス)が「逮捕への報復行為」としてFBIなど関連団体のWebサイトにサイバーテロを仕掛けており、事態はメガアップロードだけにとどまらず、米政府とWeb過激派の対立構造にまで発展している。

 今回の逮捕について、「Winny裁判」(関連記事)などを担当し、インターネットと著作権の事案に詳しい、北尻総合法律相談事務所・壇 俊光弁護士に話を伺った。


日本はアメリカよりも“著作権”基準が厳しい

―― アメリカのFBIが、香港に会社がある、ニュージーランド在住のCEO、ドイツ国籍のキム・ドットコム容疑者を逮捕するという国際的な事件でした。協力を得たとはいえ、なぜアメリカは他国にいる容疑者を逮捕できたんでしょう?

壇弁護士 おそらく、サーバーがアメリカに置かれていたのではないかと思います。インターネットの著作権問題は管轄が問題になるのですが、パリ条約に入っていた場合、ニュージーランドの法律で処罰されるとしてもアメリカ司法省は動けない。なので「アメリカでの行為」が必要だったということではないかと。


―― サーバーがアメリカにあれば、経営者がどこの誰でも逮捕できるんですか?

壇弁護士 サーバーのある場所が犯罪地の一つと考える国が多いようです。アメリカで起こった犯罪というわけです。日本でもそう考えられています。


―― 米政府が押収した同社のデータにはアップロードユーザーの情報も含まれていると思いますが、世界中にいる著作権侵害ファイルのアップロードユーザーも逮捕される可能性があるんでしょうか。

壇弁護士 可能性がないとはいえないですが……。


―― 極端な話、「日本に住んでいるユーザーの家にいきなりFBIの捜査が!」という可能性はあります?

壇弁護士 いや、日本からアップロードしたような場合、日本とアメリカのどちらの法律が適用されるかという問題と、国際犯罪捜査協力の問題があります。後者は、犯罪人の引渡しに関する条約とか国際捜査共助の対象になるので、単なる1ユーザーをそこまで大がかりなことまでして逮捕するというのは現実的ではないですね。


―― ユーザーと企業では法律の適用がちがうわけですね。

壇弁護士 そうですね。メガアップロードは、サーバーを運営して巨額の利益を得ていたというのが大きな要素だったと思います。


―― 日本でもこうした行為で逮捕される可能性はありますか?

壇弁護士 日本では、日本からサーバーを操作した場合は、犯罪行為が日本だということで外国人が日本でやっても日本の警察が逮捕可能ですし、日本人の国外犯処罰規定に著作権法が入っているので、日本人が海外でサーバーを操作しても、日本人であるかぎり、日本の警察に逮捕されて、日本の法律で裁かれます。


―― そういった前例はありますか?

壇弁護士 似たような話ではオンラインカジノの事案(2006)で、どこまでが処罰の対象になるかが問題になりましたが、「日本からサーバーが動かせる」ということで処罰対象になりましたね。また、現在ダウンロード刑事罰化の法案提出が噂されていますが、これが認められれば、アメリカで「アメリカでは適法なダウンロード行為」を行なっても、処罰の対象になることになります。

オンラインカジノの事案 : 2006年2月23日、オンラインカジノを使った違法賭博をしたとして、京都市のインターネットカフェ「ゴールドラッシュ」店員および客が逮捕された事件。店からフィリピンにサーバーを置くオンラインカジノサービスに接続し、客にカジノの1ポイントあたりを100円で販売。ポイントの残高に応じて現金を払い戻すことで、カジノ開設者と売り上げを折半していた


―― なるほど。既に日本はアメリカ以上に著作権に厳しいわけですね。

壇弁護士 はい。日本の著作権法は“フェアユース”の考えがないので「侵害」にあたる範囲がめちゃくちゃ広いのと、間接的に侵害に関与した場合に違法となる範囲がめちゃくちゃ広いです。しかも、刑法の適用については、サーバーが日本にある場合はもちろんとして、犯罪の重要な行為が日本で行なわれた場合、たとえば日本からアップロードやサーバーの操作をしたような場合や、サーバーが日本にあるなどでも犯罪地は「日本」になります。正犯の行為が日本で行なわれた場合は、幇助犯が海外であっても犯罪地は日本になります。しかも、日本人の国外犯処罰規定に著作権が入っているので、日本人が運営していれば、どこであろうと逮捕の対象になるわけです。

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