組み込み系で実績があるQNX
その上に現代的なアプリ動作環境を載せている
QNXは、もともとはマイクロカーネル方式のOSであり、標準のAPIセットとしてPosixが利用できる。BBXはこのQNXに、独自のユーザーインターフェースフレームワークである「Cascades」を乗せ、アプリケーション開発用にライブラリ機能などを強化したものだ。
標準的なアプリケーションはC++などで開発するネイティブコードを用いるが、HTML5+JavaScriptといったより広い開発者を対象とする環境でもアプリケーションを制作できるようになっている。また、従来のBlackBerryでサポートしていたJavaも利用可能だ。
ネイティブコードが利用できるため、ゲームのような高速性が要求されるアプリケーションが開発可能なほか、Javaのようなランタイムで実行する仮想コードアプリケーションも利用可能になるなど自由度は高い。また、AdobeのAirも対応する予定だという。
これに対して、HTML5+JavaScriptはウェブブラウザー内ではなく、専用の実行環境が用意され、ネイティブアプリと同等なアプリケーションが開発できるという。
QNXは組み込み用のOSとして、以前から存在しており、車載機器やATMなどでの採用例が多い。そこでBBXは対応プラットフォームとして「組み込み系」や「ネットワーク機器」も挙げている。
また、同イベントで、Tablet OS 2.0のβプログラムについても発表された。PlayBookのTablet OSはBBXのベースとなるものであり、このTablet OS 2.0の延長上にBBXはある。
Androidアプリを簡単に動作させられるようになる
BlackBerryの新OS
このTablet OS 2.0では、Androidのアプリケーションを簡単にTablet OSへ移植するためのAndroid Playerが含まれている。これは、Tablet OS上に、Android 2.3(GingerBread)と同等の環境を構築したものだ。
ただし、Tablet OSにインストールするためには、専用のパッケージ形式にする必要がある。これは、Androidの開発環境に対するアドオンとして提供されるモジュールが行ない、既存のAndroidアプリケーションを簡単にPalyBook用に変換することが可能だ。ただし、Android Playerには、いくつかサポートされていない機能がある。たとえばAndroidのオープンソース部分を利用しているため、ソースの公開されていないGoogleマップやGmailなどのGoogle系サービスが利用できない。
逆に、こうした部分を含まないAndroidアプリケーションであれば、再パッケージ作業のみでアプリケーションを移植することが可能になるようだ。
BlackBerryは搭載端末をRIMのみが製造しているため、iPhoneなどと同じく、ソフトウェアの最適化やクオリティーの制御が容易になるというメリットがある。また、BBXやTablet OSでは、オープンソースが取り入れられており、広く普及した機能を利用できるというメリットもある。
これまで、iPhoneやAndroidに押されてきたBlackBerryだが、BBXにより、本格的な巻き返しを計画しているといえる。ただ、その登場は来年とされており、そこまでは少々時間がある。2012年はタブレットに対応したWindows 8の登場も予定されており、来年もまたタブレットやスマートフォン分野で大きな動きのある年になりそうだ。