四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第65回
古川本舗「Alice in wonderword」インタビュー
ニコ動“歌い手”と野宮真貴・カヒミが共演、その理由は
2011年07月16日 12時00分更新
しばらくは接地点の見えないモノづくりをしたい
―― 古川プロデューサーとしての今回のアルバムの評価はどうですか。
古川 出来にはすごく満足しているんですけど、もっと新曲を入れればよかったなあと。最近になってフツフツと思い始めました。「三月は夜の底」が入っていると言っても1年前の曲なので。その点だけですね、気になるのは。
―― これからはどうするんですか。
古川 またしばらく同人でやる方向にいくと思います。この数ヵ月、ミックスなんかで人の声をいじってきた挙句、改めてボーカロイドを触ってみると面白くて、色々試したいことが出てきた。同人でやることの一番のメリットって、何を作ってもいいということだと思っていて。最終的に全て自分の責任なので、1000枚好き勝手に作ってもいい。
―― それを同人で出していこうということですか?
古川 そうですね、あるいは世にも出さないかも知れないし。今かっこいいと思っているものを、ひたすら面白がって作るという事をやろうかなと。ある程度ゴールが見えたモノづくりをこの2ヶ月してきたんですが、ボーカロイドを始めたときは、どこが着地点とも思っていなかったわけですね。ニコニコ動画に上げた後にどうするかもまったく考えていなかったし。だからこそ自由にやれていた部分もあったので、その感覚を思い出したいです。着地しないモノづくりをしばらくやってみたい。その中から着地するものが見えてきたら、またアルバムを作るかも知れないし。
―― このアルバムのクロスフェードやPVがニコ動に上がった時に「おかえりなさい」というメッセージが多かったんですが、これからニコ動はどうしますか?
古川 ありがたいなと思います。やっぱり。アップロードについては動画ができればやろうかな、と思っています。今回のアルバムに関して「お前が歌えや」というのが、言われて一番心苦しかった。あんだけニコ生やっておいてお前は歌わんのかいという。だから自分が歌うやつとかも作ろうかなと思っています。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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