マイクロソフトは2月11日に、次世代ウェブブラウザー「Internet Explorer 9」(IE9)の製品候補版(IE9 RC)を公開した。2010年9月にIE9のβ版が公開されてから、IE9 RCがリリースされるまでに約5ヵ月かかったことになる。
その間、開発者向けに提供されていたIE9の中核部分「IE9 Platform Preview」(以下IE9PP)は、2種類のバージョン(IE9PP6、IE9PP7)がリリースされている。実際にIE9PPをテストしてみると、徐々に互換性と性能が向上していることがわかる。
しかしIE9PPは中核部分のテスト用であるため、ユーザーインターフェース部分はIE8をほぼそのまま使っていた。一方で、今回のIE9 RCはIE9βと同様に、IE9の新しいユーザーインターフェースなど、さまざまな機能が搭載されたものだ。同時に中核部分も最新版にアップデートされている。
早速IE9 RCでの最新機能をチェックしてみよう。なお、IE9βやIE9 RCは、IE8を完全に置き換えてしまうため共存できない。また対応OSは、Windows 7/VistaとWindows Server 2008/2008 R2の各32/64bit版だけだ。Windows XPには対応していない。
IE9βとIE9 RCの違いは?
IE9βとIE9 RCの主な違いはなんだろう? まずユーザーインターフェース部分では、それほど大きな違いはない。しかし、IE9βの公開後にユーザーから寄せられたフィードバックを基に、いくつかの細かな部分が改良されている。
まずメニュー関連では、表示している複数のページを簡単に切り替えられるタブと、IE9のコントロール領域(コントロールバー)が切り離せるようになった。IE9βでは、URLを表示するボックスやIE9のコントロールボタン、タブが1行で表示されていた。マイクロソフトの調査によれば、多くのユーザーが表示するウェブページの数は同時に6以下だったので、タブとコントロールバーの領域が1行でも問題なかった。
しかし、多数のページを開いて使うヘビーユーザーにとっては、1行ではタブボタンが小さくなりすぎて、どのボタンがどのページかわからなくなってしまう。そこで、IE9 RCではヘビーユーザーのリクエストに応えて、URLボックスなどが表示されているコントロールバーと、タブボタンだけが表示されるバーに分けて、2行で表示できるように変更されている。これによってタブボタンが表示できるエリアが広がり、多数のページを表示しても、タブボタンが小さくなりにくくなった。
IE9 RCでは、ファイルやデータのダウンロードマネージャーが大幅に使いやすくなっている。IE9βでも使いやすさが評価されていたが、当時は「ダウンロードの表示」ダイアログに、ダウンロード中のファイルやデータの進捗状況が表示されていなかった。これでは「どのくらいダウンロードが済んだのか?」がわかりにくい。
そこで、IE9 RCでは「ダウンロードの表示」が改良されて、どのくらいダウンロードが進んでいるのかがわかりやすく表示されるようになった。複数ファイルをダウンロードしたりする時には、非常に便利な機能だ。
クリップボードにコピーしたURLのテキストから、新しくウェブページにアクセスする機能(Ctrl+Shift+L)も用意された。この機能を使えば、ページ上にテキストのみで書かれたURLをコピーして、簡単にURLのウェブページを表示できる。URLをコピー&ペーストする手間もなくなる。
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