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Apple「Back to the Mac」スペシャルイベントレポート

2010年10月21日 23時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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 米Appleは10月20日(現地時間)、米カリフォルニア州クパチーノにある本社キャンパスでMacをテーマとしたスペシャルイベントを開催した。「Back to the Mac」のテーマで報道関係者が招致されたこのイベントだが、それが示す意味とは何なのだろうか?

どんなにiPhoneが売れても、MacはAppleのキープロダクト

 この手の新製品発表でいつもは米Apple CEOのSteve Jobs氏がプレゼンテーションを行なうのだが、今回のイベントでは各製品担当者が各々登壇し、Jobs氏はその製品と人物を呼び出すという司会者的なポジションで動いている。最初のプレゼンテーターとして登場したのは同社COOのTim Cook氏で、AppleにおけるMacのポジションについて解説した。

米Apple CEOのSteve Jobs氏

Macの売り上げ金額は220億米ドル(約1兆7852億円)

 昨今のiPhoneの好調ぶりから「AppleはすでにMacのことを重視していない」という意見も出るほどだが実際には異なる。例えば同社会計年度で2010年売上の1/3はMacの販売によるもので、その金額は220億米ドル(約1兆7852億円)。販売台数ベースでは1370万台となる。特に直近の四半期での販売成績は好調で、米国PC市場における販売台数シェアの20.7%を占め、メーカー別ランキングでも3位となっている。この理由の1つは「iOSの開発プラットフォーム」としての役割が重視されたためであり、Macでの開発者登録数が60万人で、毎月3万人ペースで増え続けているという。MacとiOSデバイスは個別に存在するものではなく、両者が共存することで相乗効果を生み出すものなのだ。また最近Macのソフトウェア開発に参加したサードパーティとしてValve、Autodeskの例を出し、さらにMicrosoftのような企業がOfficeの最新版をリリースするなど、アプリケーション環境が充実しつつあることもCook氏は強調している。

Appleの会計年度で2010年度に占めるMac売上の割合は全体の1/3。iPhoneがいくら売れようとも、MacがAppleの主力製品であることには変わりない

Macの売り上げはなんと220億米ドル(約1兆7852億円)

米国PC市場における販売台数シェアは20.7%

進化を続ける「iLife '11」

 そして本イベント最初の製品発表だ。今回のイベントでは「iLife '11」が発表され、iPhoto、iMovie、GarageBandの3アプリケーションのアップデート内容が紹介されている。正直にいえば今回のアップデートは以前までのバージョンと大きな差はないのだが、iPhotoにおけるフルスクリーンモード対応やスライドショウ効果の追加、iMovieやGarageBandにおける編集機能の強化など、使い勝手や編集機能が向上している。例えばiMovieにはプロフェッショナル向けに相当するFinal Cut Proが存在するが、そこまでの機能を必要とせず、それでもプロ一歩手前のクオリティのムービーが作成できるようにバージョンごとに進化を続けている。Jobs氏が「iLifeは毎年(もしくは隔年で)新バージョンが発表され、少しずつ進化を続けている」と説明するように、こうした地道な進化がiLifeにおける特徴だといえるかもしれない。

今回のイベントでトップバッターとなった新製品は「iLife '11」。iPhoto、iMovie、GarageBandがバージョンアップとなった

今回のiLifeでは大きなアップデート事項は少ないが、細かなブラッシュアップが多数行なわれている。iPhotoではフルスクリーンモードが採用されており、スライドショーだけでなく、通常の作業画面がフルスクリーンのまま行なえる

 なお、iLife '11は発表当日より提供が開始され、Macの新規購入者にはこの新バージョンが標準で同梱されている。既存ユーザーには4800円で新バージョンが提供される。また、2010年10月1日から19日にMacを購入したユーザー向けに680円でアップグレードできる「Up-to-Dateプログラム」も用意されている。

ビデオチャット「FaceTime」がMacにやってくる

 iOS 4の目玉機能の1つとして登場したビデオチャット機能「FaceTime」だが、iPhone 4に続き9月に新型iPod touchが登場したことで、iOSデバイスにおけるFaceTime対応が一気に進んだ。Appleによれば、6月末のiPhone 4発売からカウントしてすでに1900万台のFaceTimeデバイスが登場したという。フロントカメラとビデオチャットを組み合わせた携帯電話/モバイルデバイスはすでに多数あり、Jobs氏の言う「この種の機能を搭載した初のデバイス」という表現は不適切だが、それらは普及しておらず使い物にならなかった。その意味では、FaceTimeは「モバイルデバイスで初めての”使い物”になるビデオチャットサービス」だといえるだろう。

 Jobs氏によれば、こうしたデバイスが普及する一方でユーザーから一番リクエストが多かったのが、「Macとの通信はできないのか?」だったという。そこで、MacにもFaceTimeデバイスと通信できるソフトウェアを提供し、FaceTimeデバイスへの仲間入りをしてもらおうというのが今回の趣旨だ。本日から「FaceTime for Mac」ベータ版の提供を開始しており、すでにダウンロードが開始されている。必要システムはSnow LeopardをインストールしたMacとフロントカメラで、Apple IDを使うことでFaceTimeを簡単にセットアップ可能だ。

「FaceTime」がMacに対応。Jobs氏が会場のPhil Schiller氏の持つiPhoneとFaceTimeで通信。iPhone側は縦持ちと横持ちの両方に対応し、それに合わせて画面が回転する

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