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グリーン・グリッド データセンター・アワード授賞式

国内ベンダー3社が壇上へ!グリーン・グリッドの授賞式

2010年10月19日 07時00分更新

文● 渡邉利和

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10月18日、グリーン・グリッドは日本構内の既存データセンターを対象にエネルギー効率向上に取り組む企業/団体を評価・表彰する「グリーン・グリッド データセンター・アワード」の受賞者を発表した。

日本市場への配慮

 グリーン・グリッド データセンター・アワードは、「日本国内でデータセンターを運用する団体・企業間で、データセンターのエネルギー効率の計測と改善を推進することを目的に、英国のデータセンターダイナミックス(DatacenterDynamics社)の協力のもと、創設され」たものだという。ワールドワイドでは、まずヨーロッパで昨年から開始されているが、日本国内では今回が第一回となる。今回のアワードでは、PUE/DCiEといった電力効率指標を用いたエネルギー効率化に対する取り組みや、指標化以前の継続性などの「改善活動」を評価基準として公募した応募者(8社)の中から受賞者が選定された。

グリーン・グリッドのローレンス・バータル氏、グリーン・グリッドの坂内 美子氏、IDCフロンティア/日立/富士通の各社代表、グリーン・グリッド 日本技術委員会代表/インテルの田口 栄治氏、英DatacenterDynamicsのCTO&Directorのステファン・ウォーン氏 (右から)

 受賞者および受賞対象は、

最優秀賞:日立製作所「データセンタにおけるエネルギー効率化のスパイラルアップ」

優秀賞:富士通「データセンターの継続的なエネルギートレンド監視と省エネWG」

特別賞:IDCフロンティア「大規模外気空調システムを採用したモジュール型データセンターにおけるPUE指標を用いた省エネルギーの取り組み」

 となっている。国産ITベンダーとして代表的な日立、富士通に、データセンター事業者大手のIDCフロンティアという顔ぶれは、まずは順当といえ、ある意味で特段の驚きはないという結果だろう。

グリーン・グリッド のエグゼクティブ ディレクターのローレンス・バータル氏

 冒頭で挨拶を行なったグリーン・グリッド のエグゼクティブ ディレクターのローレンス・バータル氏は「日本の先進性を考えると、このアワードを日本でも実施することがきわめて重要」と述べ、繰り返し日本の重要性を強調した。その重要性のアピールとして同氏は「今回私はこの授賞式のためだけに昨日来日し、明日には帰国する」とまで明かしたほどだ。グリーン・グリッドと共同でアワードを運営する形になる英データセンターダイナミックスのCTO&ディレクターのステファン・ウォーン氏も日本の重要性を繰り返し強調していたことから、逆に日本国内で昨今IT投資が冷え込み、データセンター効率化に関しても目立った動きが見えにくくなっていることに対する危機感なのではないか、と裏読みしたくなるほどの持ち上げぶりであった。

日本国内のIT投資を戻すための評価基準

絶対指標の比較ではない

 グリーン・グリッド 日本コミュニケーション委員会代表/APCジャパンの坂内 美子氏は、グリーン・グリッド データセンター・アワードの内容についての説明を行なった。同氏によれば、「既存データセンターが効率化向上に向けて行なっている努力を評価するもの」「指標値の絶対値ではなく効率化に対する取り組みと継続的な改善を評価」「応募の時点で最低6ヶ月以上のエネルギー効率改善の活動を行ない、改善活動を実施していることがエントリーの条件の1つ」だという。

グリーン・グリッド 日本コミュニケーション委員会代表/APCジャパンの坂内 美子氏

 既存のデータセンターにおける継続的な改善の取り組みを対象としたことで、昨今注目を集めつつあるコンテナ型データセンターなどの実証実験は対象外となったようだが、今後は受賞対象を大幅に拡大するつもりだというコメントもあったので、今後賞自体の認知拡大に伴って受賞対象がより幅広いものとされていく可能性はあるだろう。

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