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PUEの名付け親がデータセンターの省エネ化を表彰

今年のグリーンはここ!データセンター・アワード授賞式

2011年10月18日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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10月17日、グリーン・グリッドはデータセンターの省エネなどの取り組みを評価する「データセンター・アワード2011」の受賞企業を発表した。第2回となるデータセンター・アワードではユーザーデータセンターが最優秀賞を受賞した。

継続的な省エネの取り組みが評価

 2007年に設立されたグリーン・グリッドは、データセンターの省エネ化を推進するコンソーシアムで、データセンターの省エネ指標であるPUE(Power Usage Effectiveness)やDCiE(Data Center infrastracture Efficiency)を提唱した団体として知られている。日本では2008年から活動を開始し、日本データセンター協会(JDCC)やASP・SaaS・クラウドコンソーシアム(ASPIC)などと連携し、データセンターの省エネ化を推進している。

 「データセンター・アワード」は英データセンター・ダイナミクスとの協力により、2010年6月に創設されたもので、今年が2回目になる。エネルギー効率の改善に向けた活動を6ヶ月以上行なっている日本国内のデータセンターが対象で、指標値の対比ではなく、定量化、目標設定と計画性、継続性、社会貢献性、独創性など5項目の加点で評価が行なわれ、特別賞、優秀賞、最優秀賞などが贈られる。

データセンター・アワードの表彰式の模様

 今回、特別賞として選ばれたのは、「水冷触媒環式 超省エネルギー型 免震データセンターの実用化」を行なった日立電線。産業空調の構築経験を元に、冷たくない空気で十分に冷やせるデータセンターの設計が評価された。「(電気を使わない)フリークーリングをどれだけ長く続けられるか」(日立電線 産業インフラ事業本部 産業システム事業部 主管技師 田代完二氏)を目的に、力任せに循環や冷却を行なうのでなく、熱を温水化に利用したり、暖気や冷気は自然に上昇・下降を行なわせたり、最大限電力消費を行なわない構造を持っているのがポイントだという。

水冷触媒環式 超省エネルギー型 免震データセンターの実用化

 優秀賞と最優秀賞は、継続的な省電力の取り組みが評価された。優秀賞の伊藤忠テクノソリューションズは、データセンターという用語もなかった1980年代から省エネへの取り組みを進めてきたという。「古いデータセンターだからといってあきらめず、毎回コストをかけて施策を積み重ねてきた」(伊藤忠テクノソリューションズ クラウドプラットフォーム事業グループ サービス開発部 部長 唐木眞氏)。発電機の排熱を利用して、冷暖房・給油に使用するコー・ジェネレーション設備を早期に行なったほか、夜間に電気を充電し、日中に放電するナトリウム硫黄電池も2006年に導入。2012年には最新の省エネ施策を持ち込んだ横浜新センターも開設される予定となっている。

伊藤忠テクノソリューションズの省エネの取り組み

 最優秀賞として選ばれたJTB情報システムは、「誇れるデータセンターにしたい!」というビジョンを掲げ、自社のデータセンターのエネルギー効率を上げるため、地味な改善活動と社内外の啓蒙活動を長らく行なってきたという。また、PUEやASHRAEなどの指標を活用し、JTB独自のベストプラクティスを構築してきたとのこと。将来的には、仮想化により空いたスペースをユーザー同士で共有し、今までコストセンターであったデータセンターをプロフィットセンターに変える「データセンター相互補完構想」を持っているという。JTB情報システムのようなユーザーデータセンターの応募は今年は半数に達しており、今後も増えると予想されている。

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