作家は「とんでもない」、一般人は「こういうのを待っていた」
―― 竹熊健太郎さんは、ブログやイベントなどで「これはプロの使用にも耐えるソフトになる」とコメントされています。一方で、こんなに簡単にマンガが描けることに対してはプロの漫画家さんからは反発もありそうです。そのあたりの棲み分けはどんな風に考えていますか?
田中 竹熊先生は、京都精華大学でマンガプロデュースを教えられています。共同作業でマンガを作るということが関心にあって、その中にコミPo!の可能性を感じていただけているということでしょうね。原作者と描き手が別々の場合、なかなか原作者の意図が伝わらないこともあるけれど、コミPo!を使えばより細かい伝達ができる、そういう面に期待をいただいていると思います。
賛否両論というのはもともと予想していました。
昨年、開発中にグループインタビューもしているんです。実際にマンガを描いて同人活動をやっている方と、マンガを描いたことの無い方それぞれ5人ずつ集まって頂き、ソフトを試用した感想をヒアリングしました。
描ける方からすると、「これで描いた物を売るなんてとんでもない」というのが、ストレートな反応でしたね。マンガっていうのは鍛錬して実力をつけて描くものだと。マンガを描いていない方は「楽しい、こういうのを待っていた」と真逆の反応でした。
社内でもその段階ではコンセプトが煮詰まっていなかったんです。2ちゃんねるでもコメントがありましたが、「(プロ向けの)アングルなどのアタリを取るためのツール」という方向性も案としてはありました。でもやっぱり、描けない人が使って面白いツールにしようと。
もちろんプロの方が時間短縮を図る、という使い方もできるとは思います。でもまずはマンガを描いたことがない人が、例えば日記で文字で書いていたことを、マンガにすることでこんなに伝わるんだ、ということを体験してほしい。極論しちゃうと描けた気分になれることがまずは大事だと思うんです。
そういう思いから企画したのがきっかけなので、キャラクターはもちろん、たとえば「漫符(マンプ)」と呼ばれる感情表現のための符号、擬音や効果線なども用意して、逆に「手書きは一切しない(できない)」という仕様になっています。あくまで描いたことがない、描けない人をメインターゲットとしていますので、プロ・セミプロの方が何か危機感のようなものを感じる必要は無いはずです。
今回キャラクター原案を書き起こしていただいたイラストレーターのカントクさんの他にも、様々なデザイナーさんに参加してもらい、部品データなどと並行して、別途追加データを有償・無償でダウンロードしていただけるようにもします。