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ネットに生きる現代の匠“CTO・エンジニア”に聞く 第2回

エンジニアとして組織でモバツイの拡大を狙う

理想のコミュニティ像を追い続ける、マインドスコープ藤川氏

2010年10月20日 09時00分更新

文● 古田雄介

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経営者でもプログラマーでもない理想の姿とは?

── 2010年1月に想創社を起業されて、これまでとどんな違いがありましたか?

藤川  いっぱいありましたね。ただ、起業から半年間は一人でずっとやってきたので、それほど苦労はしませんでした。大変だったのは、マインドスコープを立ち上げるという段階になってからです。とりあえず、社員の雇用に関する法律や保険のことなど、色々な雑事は増えました。なにより、経営をしなくてはならないという意識が強くなったのが一番大きいかもしれません。今まではただモバツイを見ていた、みたいな感じでしたから。

── 発足時にpaperboy&co.創業者の家入一真氏を含む3人の役員を招いていますが、社員はどれくらいの人数を集める予定ですか?

藤川  トータルで10数人くらいを考えています。まあ、一気に集めるというより、面接しながら徐々に増えたらと考えています。幸いなことに、モバツイのおかげでこれまで借金をせずにこれたのもあり、ある程度の規模は想定できるようにはなっています。

2010年1月に立ち上げた想創社の社名を同店9月に「株式会社マインドスコープ」に変更。組織も大型化した

── ただ、社員が増えると経営者としての時間と労力が増えそうですね。すると、プログラマーとしてやれることが制限されると思います。そういうジレンマはありますか?

藤川  ありますね。最近は、本当にプログラマーとして動ける時間が全然とれなくなりました。休日出勤して、時間が空いたときに2時間くらいちょっと触れるかなという感じです。何より、プログラムをやる心の余裕がなくなっていますね。

 僕の場合、プログラマーモードと経営者モードというのは、思考の解像度みたいなものが違うんですよ。経営者モードだと高い場所から広いところを見渡すので、細部まで意識はいかないんです。でも、プログラマーモードは狭いところを高解像度で見る必要があるので、そのモード切り替えには苦労していますね。

── 理想としては、どちらに比重を置くようにしたいですか?

将来的に“社長業”ができる人を募集して、その人にお願いしたいという気持ちがあります

藤川  経営ではないですね。そこは、将来的に“社長業”ができる人を募集して、その人にお願いしたいという気持ちがあります。かといって、プログラマーでもないんです。それよりひとつ上の視点で物事を見て判断する、開発者……エンジニアの立場が理想ですね。

 未来を見据えたサービスやソリューションを考えて、何をどう実現するかアーテクチャーを考え、実現可能なプロセスまで落とし込む。そういうふうにして、クリエイティブな方向に専念できる組織を作りたいと思っています。

── 分かりました。では、マインドスコープの代表として、今後の展望と目標を教えてください。

藤川  今年1年でいえば、モバツイの会員数を200万人くらいまで拡大できたらいいなと思っています。現在、Twitterのユーザー数は1000万人いるかいないかというところだと思いますが、これが2~3000万人に成長していくところにコミットしていくといいますか、プラットホーム上のプレイヤーとしてコミュニティを盛り上げていきたいです。まあ、Twitterがmixiやモバゲー、GREEに負けないような世界になれば、また全然違う展開が開けてくると思うので、当面はそこをやっていこうと考えています。

── マインドスコープとしても、大手SNSのような企業規模を目指していますか?

藤川  そこまでは想像つかないですね。骨太なサービスをしっかり作れる会社組織を育てていけば各段階で必要な人数が徐々に増えていくとは思いますが、企業規模での目標はありません。何かのスキームみたいなものが完成して、人を雇ってアウトプットを増やすぶんだけ儲かるというのが見えたら、会社として一気に大きくなるのかもしれませんね。まあ、「これやったらすごく儲かるんじゃないの」みたいなものが見えたら行けばいい話で、まずは目の前のことを着実にやっていきます。

漠然としたやりたいことを自力で鮮明にしていく生き方

 藤川氏は、子供の頃に触れたパソコン通信の楽しさを原点に、コミュニティを創造する仕事を求めて職場を変え、起業するに至った。やりたい仕事を妥協せずに探求する途中でTwitterに出会い、自ら作り上げた「モバツイ」という強力な武器を持ち、新たな挑戦を続けている。

 また、現在募集している理想の社員像として、「独自の哲学を押し通すのではなく、そのメリットを皆に伝えて広められるような人。そんなリーダーが数人いたら組織としてかなり伸びると思うんですよ」と語っていた。そうした最良のメンバーを集め、大手SNSにも匹敵するようなコミュニティの場を提供する将来に期待したい。

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