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ゼロからはじめるバックアップ入門 第11回

Symantec Backup Exec 2010でバックアップ

シンプルなバックアップを試してみる

2010年09月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ここまでの連載は、基礎を学ぶいわば「座学」であったが、バックアップに関してはなにより実践することが重要である。バックアップの失敗や設定ミスで、データやシステムが戻らなかったという例は枚挙にいとまがないからだ。ここでは、シマンテックの「Symantec Backup Exec 2010」を元にバックアップを試してみよう。

Symantec Backup Exec 2010のインストール

シマンテックの「Symantec Backup Exec 2010」

 シマンテックの「Symantec Backup Exec 2010」は、Windows用のバックアップソフトとして高いシェアを誇る製品で、直感的なユーザーインターフェイスが大きな特徴となっている。幅広いアプリケーションやバックアップメディアに対応するほか、仮想化環境でのデータ保護、重複排除、アーカイビングなどの最新機能もいち早く搭載。さまざまな環境で利用できるオプションの豊富さも大きな売りとなっている。以下、このSymantec Backup Exec 2010でWindowsサーバーのバックアップを試してみたい。

 まずはバックアップの構成を見てみよう。Symantec Backup Exec 2010でのバックアップには、バックアップ作業をコントロールするメディアサーバー、設定や管理を行なう管理コンソール、データを保護するためのバックアップデバイスなどのコンポーネントが必要になる。また、バックアップ対象となるコンピューターには、各OSやアプリケーションに対応するエージェントプログラムをインストールする。各エージェントはメディアサーバーと連携して、バックアップとリストアを行なうことになる。

Symantec Backup Exec 2010のコンポーネント

 まずバックアップ作業の中心となるメディアサーバー用として、Windows系OSを搭載したマシンを用意し、外付けHDDやテープドライブを接続する。今回はWindows Server 2008 R2のサーバーを用意し、USB接続のHDDを接続した。あとは光学ドライブにメディアを挿入し、Symantec Backup Exec 2010のインストールを行なえばよい。

 インストール作業はウィザード形式になっており、環境チェック、データベースやテープデバイスのドライバのインストールなどもまとめて行なってくれる。途中でオプションの選択や管理者アカウントの登録といった作業もあるが、動作要件をきちんと満たしていれば、特に面倒はないだろう。インストール後、必要に応じて最新のモジュールをダウンロードし自動的に更新する「LiveUpdate」という機能も用意されている。

メディアサーバーには「Backup Exec」をインストールする

ウィザードではローカルでのインストール環境がチェックされる

インストールする機能やオプションを選択する画面

ウィザードが完了すると、インストール作業が開始。最新版へのアップデートも行なう

 保護対象となるコンピューターには、エージェントである「Backup Exec Remote Agentユーテリティ」を別途インストールする。こちらも基本はメディアサーバーと同じくウィザードを進めていくだけだが、途中でメディアサーバーのコンピュータ名/IPアドレス等を指定する必要がある。インストールが終了すると、エージェントがタスクバーに常駐する。

Symantec Backup Exec 2010の初期設定

 ここまで完了したら、メディアサーバーのスタートメニューやデスクトップにできたアイコンからSymantec Backup Exec 2010の管理コンソールを起動してみよう。

デスクトップのアイコンをクリックすると、管理コンソールが起動する。ここから設定や運用管理を行なう

 左上に「始めましょう」「ジョブ作成タスク」「テクニカルサポート」「マニュアル」などのペインが表示されるので、「始めましょう」というペインで初期設定を行なう。初期設定は以下の3つになる。

初期設定は「始めましょう」のペインに並ぶメニューを上から設定していく

1) ログオンアカウントの作成
メディアサーバーから各種リソースにアクセスするための「ログオンアカウント」を作成する。管理コンソールの「ログオンアカウントの作成」メニューをクリックするとウィザードが起動するので、「新規ログオンアカウントを作成する」を選択し、バックアップ対象となるサーバーにログオンするためのユーザー名やパスワード(「ログオンクレデンシャル」と呼ぶ)などを登録する。この際、ユーザー名は「ドメイン名\Administrator」など完全修飾ユーザー名を入力する必要があるので注意。あとはログオンアカウントの識別名、セキュリティレベル、デフォルトログオンアカウントとして利用するかなどをチェックボックスで選択する。ウィザードが完了すると、管理コンソールにはチェックマークが付く。

「新規ログオンアカウントを作成する」を選択する

バックアップ元となるサーバーのユーザー名やパスワードを登録する

2) デバイスを設定
デバイスとはテープ装置やHDDなどのドライブを指し、バックアップデータを記録する装置を指す。「デバイスを設定」のメニューをクリックすると、「デバイス設定アシスタント」が起動し、登録可能なデバイスの一覧が表示される。第5・6回で述べたとおり、現状企業のバックアップの中心はテープからディスクに移っており、外付けのHDD、ストレージ装置をターゲットにする場合が多い。ここではディスクストレージの「リムーバブルディスクへのバックアップフォルダ」を選択し、ウィザードを進めていく。バックアップフォルダ名、フォルダへのパス、バックアップファイルの最大容量、書き込み可能なバックアップセットの最大数、空き領域のしきい値などを登録すると、ウィザードが完了し、デバイスが登録される。

HDDやテープ装置、NASなどさまざまなデバイスを選択できる

バックアップフォルタ名を登録する画面

バックアップファイルサイズの最大容量を指定

3) メディアセットの作成
メディアとは、デバイスを介して、バックアップされた個々のバックアップデータを指す。テープ装置がドライブだとすると、メディアはテープ自体というわけだ。このメディアを管理するためのルールがメディアセットで、データの追記期間、上書き禁止期間などを設定できる。「メディアセットの作成」のメニューをクリックするとメディアセットウィザードが起動するので、ルールを設定していく。

週次や月次などの目的をメディアセット名として付ける

メディアの上書きを禁止する期間を設定できる

 以上で、初期設定は終了となる。バックアップ対象のサーバーやデバイスが増えた場合は、こうした設定を再度行なう。

(次ページ、バックアップジョブの作成と実行)


 

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