NVIDIAは17日、東京都内にて記者説明会を開催し、プロフェッショナル向けのグラフィックスカード「Quadro」シリーズの新製品を披露。Quadroシリーズの優位性や日本でのパートナー戦略などについて説明した。
今回披露された製品は、2010年7月に米国で開催されたコンピューターグラフィックス関連学会「SIGGRAPH 2010」に合わせて発表済みのもの。いずれも「GeForce GTX 480」などと同じFermiアーキテクチャー世代のGPUを搭載する。カード製品はラインナップ上位から「Quadro 6000」「Quadro 5000」「Quadro 4000」の3製品で、ほかにボックス型の「Quadro Plex 7000アレイ」と、ノートパソコン向けカード「Quadro 5000M」がラインナップされている。いずれもすでにOEM向けに出荷を開始しており、Quadro 5000/4000はすでに販売されている。
新しいQuadroシリーズは、OpenGL 4.1やDirectX 11、NVIDIA CUDAに対応するFermiアーキテクチャー世代のGPUを搭載するプロフェッショナル向け製品群。アーキテクチャー自体はコンシューマー向けのGeForce GTX 480などと同じだが、カードにはECC対応のメモリーなどを搭載する。Fermiアーキテクチャーに更新されたことで、特にグラフィックスについてはジオメトリ演算性能が大幅に向上。前世代のアーキテクチャー(G200)ベースの製品と比較して、5倍も複雑なモデルを表示可能となり、シミュレーションで重要な倍精度演算性能は8倍にも達するという。
説明会でのデモやスライドでは、強力なFermiの演算能力を生かして、風洞シミュレーションや動画のリアルタイム高精細化、3Dモデル上でのテクスチャ編集などが披露された。
また、コンシューマー向けの3Dステレオ映像システム「3D Vision」を強化したプロフェッショナル向けの「3D Vision Pro」にも対応する。同期信号の伝送に電波を使い、送信機と最大約30m離れても使用できる。
東工大のスーパーコンピューターに大量導入されるなど(関連記事)、日本では教育・研究機関での採用が話題になるNVIDIA GPUベースのシステムだが、新しいQuadroシリーズでは映像制作市場やデザイン市場への市場拡大を目指して、パートナー企業との協業を軸に据えた戦略を採るという。
ハードウェアベンダーやシステムビルダー、OEMパートナーや対応アプリケーションベンダーを、「QPP」(Quadro Preferred Partner、仮称)と称する認定パートナーとして協業。デジタルコンテンツ制作、放送、医療、製造といった分野に注力して、マーケティング活動を行なうとしている。
価格は、Quadro 6000が49万8000円、Quadro 5000が22万8000円、Quadro 4000が9万9800円。またマウスコンピューターから、Quadro 4000とCore i7-970プロセッサーを搭載するクリエイター向けパソコン「MDV-ADG9150X-WS」が、同日発売されている。こちらの価格は28万8750円から。