ネット回線をWiMAXにまとめて節約する
不景気な昨今、「便利だから」といって簡単に通信費で毎月の支払いを増やすわけにもいかない。そこでWiMAXを導入したときのコストを考えてみよう。メインで使うパソコンでも、5~8Mbpsの実効速度で事足りるなら、いっそADSLやFTTHなどの固定ネット回線を解約してしまう手もある。例えば、WiMAXを使い放題の「UQ Flat」プランなら月額4480円なので、固定回線を使うよりも安くなるかもしれない。そのうえ外出先でも、WiMAXを利用できるのだ。
現在、モバイル通信で3G回線を複数使っているなら、モバイルルーターでまとめてしまうと安く済む。シンセイコーポレーションの「URoad-7000」のようなバッテリーを搭載するモバイルWiMAXルーターを利用すれば、外出先でも複数の機器でWiMAXを利用できる。3G回線で複数機器を同時接続すると遅くなってしまうが、WiMAXならそこそこ快適に接続できる。
時期によって利用する頻度が異なるなら、2段階定額プランの「UQ Step」がぴったりだ。最低料金は380円からで、約11万8000パケット(1パケットは0.042円)で4980円が上限となる。UQ Flatよりも最大金額は高くなるが、使わない月は安く済む。
iPadの3GモデルとWi-Fiモデルの価格差は約1万円。3Gのデータ通信料金は月額最大4410円だが、月月割を適用すれば2910円になる。持っているモバイル通信機器がiPadだけなら、モバイルWiMAXルーターにするメリットはないが、ほかにもパソコンやiPod touch、携帯ゲーム機を持っているなら価値はある。ガラケーとiPhoneの2台持ちユーザーなら、iPhoneの3G通信を切ってWi-Fiで利用し、パケット料金を抑える手もある。
滅多に利用しないなら「UQ 1Day」というプランもある。24時間600円で利用できる1日プランだ。都市部に出張したときだけ使いたい人や、1日だけWiMAX機器を借りた場合などに活用できる。筆者も仕事でWiMAX機器を評価するときは、1Dayプランを利用している。契約前は当然ネットに接続できないが、契約画面にはアクセスできるので、その場で手続きが可能。10分ほどで利用できるようになる。
さらにUQ WiMAXは、1契約で3台までのデバイスを登録できるのが便利だ(1Dayプランは不可)。利便性の高いWiMAX内蔵パソコンを購入したら、その契約でほかのUSBアダプターも利用できるのだ。追加コストは月額200円で済む。複数の機器で同時に接続することはできないが、状況に合わせて機器を使い分けられるのはうれしいところ。
手軽に使えるのはやはりパソコン内蔵タイプだ。例えば、ソニーの「VAIO X」をCTO方式のVAIOオーナーメードモデルで購入する場合、WiMAXの有無で価格差は1万円程度となっている。USBやカードタイプのアダプターは1万2000~1万4000円程度。モバイルWiMAXルーターは1万6000~2万円前後だ。
3G回線のような割り引きプランが用意されていないので、数万円の割引が受けられるPocket Wi-Fiの方に魅力を感じる人も多いだろう。しかし、これは2年契約のしばりがあるために可能な割引だ。WiMAXには契約の縛りがなく、いつでも解約できる。月額料金もUQ Flatが4480円。対してイーモバイルの「新にねん」が4980円だから、むしろ安い。その分を端末代として考えればいいだろう。
極端な例を考えてみると、固定回線を解約して6000円、iPadをWi-Fiモデルにして2910円、iPhoneの標準プライスプランでパケットを使わず3381円(4410-1029円)で、月額約1万2000円が浮かせられるというわけだ。これなら差額で、WiMAXの端末代金と月額を支払ってもかなりのお釣りが来る。
対応エリアが広がり都心部では実用できる
UQ WiMAXの基地局は5月末で8120局、現在は9000局を超えている。東京はもちろん、大阪、京都、名古屋などの大都市圏はまるごと対応エリアに入っている。これらの地域なら、駅から離れても十分な接続速度が得られる。そのほかの地域は県庁所在地近辺のみで、まだ基地局は少ないようだ。今年度末までに1万5000局に増やす予定のようなので、期待したい。
無線通信なので、地図上では対応エリアでも、利用場所と基地局の位置により通信できないこともある。そのため、無料でWiMAX機器を15日間貸し出し、接続できるかどうか試せるサービス「Try WiMAXレンタル」も用意されている。初めてWiMAXを使うという人は、面倒がらずにあらかじめテストしておくことをお勧めする。申込時にクレジットカード情報を登録する必要があるが、機器を返却すれば料金はかからない。レンタル中の通信料も無料だ。
8月1日までは、WiMAX機器の購入と同時にUQ Flatを申し込むと、月額4480円のところが、1年間は3780円となるキャンペーンも実施中だ。これを使うと年間8400円の節約になる。さらに、他社のモバイルデータ通信サービスから乗り換えると、6000円キャッシュバックするキャンペーンもある。8月22日までは、端末半額キャンペーンも行なっている。USBアダプターやPCカード/Expressカードタイプの古い端末のみが対象だが、6000円台で接続機器が購入できるのはお得だ。
自宅と会社など、メインで利用する場所がWiMAXに対応しているなら、積極的に導入を検討したい。現在抱えている回線をWiMAXでまとめて置き換えると、通信速度の向上とコストの削減が同時に実現できるかもしれない。
■Amazon.co.jpで購入
筆者紹介─柳谷智宣
1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートパソコンは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスパソコンテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「PDFビジネス徹底活用技」(技術評論社)。
この連載の記事
-
第342回
トピックス
低解像度の古い写真を高画素化するAI「Topaz Gigapixel AI」で印刷品質にするワザ -
第341回
iPhone
iOS 16で変わった時計のフォントは変更可!? ロック画面を思いっきりカスタマイズしよう -
第340回
スマホ
バッテリー消耗問題が解決したiOS 15.4の新機能をチェックする -
第339回
スマホ
新顔のスマートリモコン「Nature Remo mini 2」で家中の家電をスマホでオンオフするワザ -
第338回
iPhone
格段に進化したiOS 15! イチオシの新機能10を一挙紹介 -
第337回
トピックス
標準機能が充実しているVivaldiブラウザーに乗り換えればウェブ閲覧が超快適になる -
第336回
トピックス
3000円以下で手に入る防水防塵ナイトビジョン対応の高性能監視カメラ活用術 -
第335回
iPhone
スマートトラッカーの決定版「AirTag」を活用して探し物を即見つけるワザ -
第334回
トピックス
今年ブレイクの予感!? ありとあらゆる情報を一元管理するサービス「Notion」がイチオシのワケ -
第333回
トピックス
もっと便利に活用しよう! Googleスプレッドシート使いこなしテクニック 7選 -
第332回
トピックス
Windows 10標準ブラウザー「Edge」がChromeの機能を使えるようになっているの知ってた? - この連載の一覧へ