VIAチップセットの歴史 その1
良くも悪くもインテルに振り回されたVIAチップセット
2010年05月10日 12時00分更新
訴訟合戦の逆風の中
Pentium 4対応のP4X266を投入
そしていよいよ2001年には、Pentium 4向けチップセットが登場する。当時、インテルはPentium II/III向けチップセットのマーケットをVIAに大分持っていかれたこともあり、「VIAが取得したバスライセンスは、Pentium 4向けのP4バスでは無効である」と宣言。ここからインテルとVIAの泥沼の特許訴訟合戦が始まる。
最終的に5ヵ国で合計11の係争が行なわれる羽目になった一連の訴訟は、2003年4月の和解で終わるが、これが解決するまでの間、OEMベンダーはVIAの製品を使いにくかった。というのも、VIAのチップセットを使った製品を出荷すると、自動的にインテルから訴訟を起こされる可能性が高いからで、結果としてVIAのPentium 4向け製品を使った製品はほとんど見かけなかった。
こうした逆風の中でも、VIAは粛々と製品を出荷した。まずはApollo Pro 266をP4バス対応にしたとでも言うべき構成の「P4X266」を2001年8月に投入。続いて「メモリーアクセスを最大20%向上した」という改良型の「P4X266A」を同11月に投入。さらに翌2002年2月には、533MHz FSBに対応した「P4X266E」を出荷する。
このP4X266Eをベースに、DDRメモリー専用としたのが「P4X333」であるが、その後に名称を「P4X400」に変更、2002年7月に出荷開始する。このP4X333/P4X400はちょっと不思議な製品で、メモリーバスは200/266/333/400MHzに対応としながら、対応メモリーがDDR200/266/333のみとなっている。
ようするに、DDR400との適合性評価にうまく適応しなかったからであるが、これはインテルがDirect RDRAMを諦めた後で急速にDDR400の対応を進めたこととも無関係ではない。当初「DDR400は実現しない」(400MHzはDDR2で対応)という話もあったのだが、インテルは800MHz FSBのPentium 4搭載にあわせて、急速にDDR400の評価をメモリーベンダーと進めていた。VIAはその流れに置いていかれた、というのが正しいところだろう。
結局DDR400に正式対応するのは、2003年7月にリリースされた「PT800」からとなる。ちなみに、PT800のあとで「P4X533」なるチップセットがリリースされているが、これは「公式には400/533MHz FSBのみ対応」としながらも、オーバークロック動作で800MHz FSBが動くというもの。PT800はややハイエンド向けなので、バリュー向けというポジションで販売されたようだ。
PT800は先の訴訟和解のあとに発売されたもので、スペック的にはIntel 800シリーズとほぼ同等のものだった。今度はDDR400にも正式対応し、しかもデュアルチャンネル構成が可能になった。これに続いて11月には、DDR2 SDRAMやPCI Expressに対応した「PT880 Ultra」をリリースする。これは「Intel 915/925」シリーズより先に投入されている。
さらに、翌2004年2月にはバリュー向けの「PT890」もリリースされる。矢継ぎ早の投入で再びマーケットシェアを……と目論んだのだろうが、2年に渡った訴訟中にVIAのシェアは他社に奪われてしまっており、再度奪い返すのは難しかったようだ。結果、ディスクリートチップセットに関しては、このPT890でほぼ終わりを告げることになる。
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