どうしても確実に外出先から接続したいなら、2つの方法がある。まずは、ルーターに割り振られるIPアドレスを固定する「固定IPアドレス」サービスだ。プロバイダーごとに料金が異なるが、金額は840~5000円程度。コストがそこそこかかる上に初期設定が必要だが、IPアドレスが変わらないのは頼もしい。
ただし、事業者によっては固定IPサービスを利用する場合、グローバルIPアドレスから個人名や住所などをネット上で検索できるようになってしまう。これは別に情報が漏洩しているわけではなく、ネットワークの障害などで管理責任者への連絡が必要になる場合に備えて公開されているものだが、個人の場合は注意が必要なのは変わりない。
もうひとつが「ダイナミックDNSサービス」だ。これは、特定のドメイン名に自宅にあるルーターのグローバルIPアドレスをひもづけるサービスである。プロバイダーやネットワーク機器メーカーが用意する有償サービス以外に、無料で使えるサービスも複数あるのでコストをかけずに済む。自宅にいないときにも自動でダイナミックDNSサービスの情報を更新するためには、「DiCE」(フリーソフト)などのツールが必要になる。
実のところ筆者は、これらのサービスを利用していない。単にグローバルIPアドレスを調べて、クライアント側に入力しているだけだ。実際つなぎっぱなしの場合、グローバルIPアドレスはほとんど変更されない。回線事業者側やマンションで回線に関係する工事や故障が起きない限り、2~3カ月同じというのもざらだ。万一つながらない場合は自宅に帰って確認するか、クラウドやUSBメモリーなど別の方法を利用すると決めていれば、手間をかけずに利用できる。
1度だけ自宅が停電した際に、復旧してもパソコンの電源は落ちたままなので、アクセスできなかったことがある。とはいえこういう場合は、固定IPやダイナミックDNSのサービスを利用していても同じことだ。初めてリモートデスクトップを使うなら、とりあえず手入力で運用して不都合があるかどうかチェックすることをお勧めする。
次回は、外出先でパソコンやiPhoneからアクセスする手順や活用法、リモートデスクトップ接続のディープな設定を紹介する。また、OSのエディションやパソコンの性能により、リモートデスクトップ接続が利用できない人向けのフリーソフトも紹介する。
筆者紹介─柳谷智宣
1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートパソコンは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスパソコンテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「PDFビジネス徹底活用技」(技術評論社)。
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