社内集合知を効果的に活用する、各種検索にも使う
ATOK CEが従来のATOKと最も大きく違う点は、従来サーバーからクライアントへの一方向だった辞書の配信を、双方向としたこと。
ユーザーが実際にATOK CEを利用した履歴をサーバー(ABS)に適時フィードバックし、実際にどのような用語が入力されているか、変換辞書の変更によってどれだけ入力効率や生産性が上がったかといった情報を蓄積していく。管理者は、そのログを参照して、より最適な辞書を作成したり、ATOK CEの導入でどれだけ利用効率が改善したかを知ることができる。
また、ATOK CEで利用できるメニューや設定項目に関しても管理者側で取捨選択できる。不要なメニューやツールバーのボタンを非表示にすることで、誤動作や教育のためのコストを減らせる。WindowsのActive Directoryを利用して、グループ単位でのポリシー変更も可能だ。
17日に実施された発表会で強調されたのは、社内用語用の変換辞書をより効率よく運用できる点だ。
一口で社内用語といっても業界共通の専門用語だけではない。社内だけで通用する略称や会社として不適切と考える表現など、その範囲は多岐にわたる。例えば、「インストール」なのか「セットアップ」なのか、「カーソル」なのか「十字キー」なのか、「データ」なのか「データー」なのか……など、会社によって呼称が異なる例は多いだろう。
こうした用語の運用ルールは、多くの会社で存在するが、実際にはあまり浸透していないケースが多々ある。最終的に表記の知識が豊富な経験者が校正して確認が必須となる場合も多い。仮にルールがドキュメント化されていたとしても、紙の資料を見たり、ウェブにアクセスしたりと確認の手間がかかる。それ以前に情報がどこにあるかも分かりにくいケースもある。
そういった手間を軽減するために、変換エンジンに表記統一のための機能を持たせてしまおうというのがジャストシステムの考え方だ。例えば、ルールに外れる表記や単語が出てきた際に、アラートを表示したり、別の単語を変換候補に出し誤用を減らす。また、ログから誤用の頻度が高い単語を抽出して、辞書のカスタマイズに利用できる。
用語管理データベースには、HTML出力機能も用意されているので、正しい表記をイントラネットで公開するといったことも少ない工数で実現できるという。
また、用語用字の運用ルールだけではなく、「社員名」で変換すると「内線番号やメールアドレス」、「製品カテゴリー」で変換すると「自社で扱っている製品の型番」、「営業所」で検索すると「住所や電話番号」を表示するといった運用も可能。これもATOKダイレクトと呼ばれる仕組みを利用して簡単に登録できる。
登録方法は単語の「読み方」「変換結果」「一緒に表示するコメント」を書いたExcelファイルを特定のフォルダーに置くだけ。利用は変換時にF12を押すだけと簡単。部分一致で検索結果が出るほか、複数のExcelファイルをまたいだ結果も出せる。
ジャストシステムでは、ヘルプデスクなどで頻繁に利用する定型文などの登録などにも応用できるとしている。