5位 勢いに乗るUstreamの生中継
5位は「Ustream」が注目をされるという話だった。これはもう少し上のランクでよかったかもしれない。
日本では春頃から多くのIT系イベントがUstreamで中継されるようになった。その勢いを爆発的に押し進めたのが、6月25日、iPhone 3GS発売に向けてできた行列の先頭にいた一人の女性、ケツダンポトフの「そらの」(@ksorano)さんだ。
徹夜の行列にノートパソコンとウェブカメラを持ち込んでいきなりUstreamによる行列の中継を始めて、行列に加わる人、一人一人とフリーハグをする彼女がTwitterで話題になった。視聴数は、おそらく日本のUstream放送としては初の1000ユーザーを超えた。彼女のこの放送を見てUstreamという技術の凄さを知った人も多いだろう。
その後も、彼女はIT系イベントや政治系イベントなど、さまざまなイベントに足を運んで、イベントとUstream技術の両方を有名にしていった。一般のテレビでは見られなかった政府による事業仕分けの生放送は、IT系の人達に大きな衝撃を与えた。
秋には突然、ロックバンド「KISS」のコンサートが生放送されて20万人が視聴するという事件が起きている。日本でもクイーンのコピーバンド「グイーン」らのコンサートがUstreamで放送された。
年末にはiPhoneからUstreamの生中継を行なえるアプリも登場して、一般の人々がスケートボードで遊んでいる姿や、友達との飲み会など、何気ない日常を次々とインターネット生放送し始める時代が到来した(関連記事)。この傾向は2010年には、さらに大きなうねりになりそうだ。
4位 浸透の兆しを見せたデジタルハブ2.0
4位は「デジタルハブ 2.0」、つまりiPhoneのようなスマートフォンを中心に、そこから身の回りの家電製品などを操作することが増えるだろう、という予想だった。
小さなところでは、アップルがiPhoneをリモコンにしてMac用プレゼンテーションアプリ「Keynote」のスライドをめくれるアプリを提供している。米国では自宅のテレビやビデオ機器をインターネット越しに操作して放送(あるいは録画番組)を見る「Slingbox」のiPhoneアプリがリリースされている。いつでもどこでも見たいときに見たい番組が見られると話題になった。
大きなところでは、英米で展開するカーシェアリングサービスの企業「ZipCar」がiPhoneアプリをリリースしている。このアプリを使えば、予約した車のドアロックの開閉や、駐車場のどこにあるかを知らせるためにクラクションを鳴らすという操作をiPhoneから指示できる。
もっとも、こうした「デジタルハブ2.0」の習慣はまだ一部の人だけで、人々の日常に浸透していくにはもう少し時間がかかるのかもしれない。
3位 Ubiquityは普及せず
3位はMozilla Labsが開発している「Ubiquity」など、文字入力によるユーザーインターフェースが再び注目を集めるという予想だった。
これは残念ながら、当たったとは言いがたい状況だ。ただし、素晴らしい技術であることには変わらないので、今後の普及に期待したい。知らない人はぜひ使ってみて欲しい。
2位 大当たりだった「Twitter Search」
2位は「Twitter Search」やTwitterの「#タグ」が、一般にも使われるようになるだろうという予想だった。
何のことかと疑問に思うかも知れない。今ではTwitterで当たり前のように使っている検索欄やハッシュタグのリンク化は、2009年5月1日になってようやく標準搭載された機能だ。
筆者の記事が公開された2008年末において、Twitter Searchは独立した別のページから使うおまけ的なサービスだった(元々はSummizeという別会社を買収して手に入れた機能だ)。ちなみに「流行のトピック」も、そちらのページに表示されていた。
また今や当たり前になっているハッシュタグも、少なくとも日本ではほとんど誰も使っていなかった。しかし今日では、多くのTwitter関連イベントで最初に「イベントのハッシュタグは……」という会話がなされるようになっている。この予想については「大当たり」と言えるだろう。
そもそも2009年を通して、Twitterそのものが、予想をはるかに上回る大ブレイクをし、著名人はもちろん、総理大臣までもが利用するようになり、ソフトバンクなど、一部の先鋭的な企業で全従業員に使わせるような事例も出始めているのは感慨深い。
1位 広がる「Web 2.0 in your pocket」
1位は「Web 2.0 in your pocket」というライフスタイルの広がりを予想していた。
iPhoneの登場で、Web 2.0の便利さや楽しさが、人々の日常生活の中にまで浸透し始める、という予言だったが、これについてもまさにその通りといってもいいのではないだろうか。
特に大きかったのがTwitterのモバイル活用で、これによって交友関係やライフスタイル、場合によっては仕事スタイルまで激変したという人が大勢いる。