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最新ユーザー事例探求 第8回

無名のバックアップソフトでシンプルな管理へ

Secure Back 3にファイルサーバーを託したオルビス

2009年12月08日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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100%オイルカットのスキンケア商品の通信販売で知られているオルビスは、以前からファイルサーバーのデータ保護に難渋してきたという。これを解決するために導入したのは、無名に近いベンチャーのバックアップソフトだった。

ファイルサーバーの保護と可用性の向上を目指し
レプリケーションソフトを導入

 ポーラ・オルビスホールディングスの傘下で、化粧品や栄養補助食品の企画・開発・販売を手がけるオルビス。オルビスの代名詞ともいえる100%オイルカットのスキンケア商品を筆頭に、安全性と品質を追求する製品が多くのユーザーの支持を得ている。現在は、通信販売と直営店103店舗(2009年9月)を経由して、すべて直販で国内・海外のユーザーに商品を届けているという。こうしたオルビスのITやインフラ関連を取り仕切っているのが、情報システム部である。

情報システム部 課長橋本祥永氏

 情報システム部では、部署単位にあった本社のファイルサーバーを、4年前に大型のWindowsサーバーに統合した。インフラ部門を切り盛りしてきた情報システム部 課長橋本祥永氏は、「顧客データは基幹システムで管理していますが、個人情報以外の企画書や業務用書類、経営関連の資料、レポートなど、数多くの重要な文書がファイルサーバーに納められています。また、当社は顧客情報を安心して預けていただくためのプライバシーマークを取得している関係で、クライアントPCには極力データを置かず、ファイルサーバーに保管するようにしています。おのずとファイルサーバーには重要なファイルが溜まります」と、ファイルサーバーの重要性について説明してくれた。

 こうした背景からサーバーのリプレースと同時に、データ保護とサーバーの可用性向上のために海外製のレプリケーションソフトを導入したという。しかし、このレプリケーションソフトが悩みの種となってしまう。

サーバーがフェールオーバーされない!
ファイルも誤って削除しそうに……

 このレプリケーションソフトは単にデータをバックアップするだけではなく、CDP(Continuous Data Protection:継続的なデータ保護)を謳い、更新されるデータを時系列上にリアルタイムに保存する。あわせてサーバーの障害時は、自動的に待機系のサーバーへフェールオーバーする機能も搭載するといった機能が売りだった。ファイルサーバーのデータが数百GB単位あり、ファイルの重要度も高いため、なるべくリアルタイムにデータを保護し、サーバーのダウンタイムもなくすということで、この製品が選ばれた。

 ところが実際にトラブルが発生した際に謳い文句の機能が働かず、問題が生じた。橋本氏は「リアルタイムのバックアップが売りで、シェアも高いため安心して導入したのですが、導入テストではうまくいっていたフェイルオーバー機能がなぜか運用開始後にきちんと機能しないなどの問題が発生しました。すでに述べたようにファイルサーバーに格納しているデータは大変重要であるため、導入ベンダーの支援を受けながらいろいろと対応をしたのですが、結局数カ月間経過しても問題が解決できませんでした」と、かなり困った状態だったという。

 もっとも必要としていたフェイルオーバー機能が使えないうえに、フェイルオーバー時の操作も複雑。メニューがすべて英語であったこともあり、データを誤って削除しそうになるなど、運用上の負荷も大変大きかった。

 「トラブルが発生したことで、導入時にベンダーに任せ過ぎ、ソフトの運用まで含めた検証が不十分であったと反省しました。そのため、今後は自分たちで責任を持って検証や運用を行なう必要性を強く感じていました。しかし、これまでのソフトは調査した限り、総じて運用が難しく、われわれで使えるかという不安もありました」(橋本氏)。

 ちょうどそうした時期に、橋本氏の部下が売り込みを受け、一躍有効な選択肢となったのが、アール・アイの「Secure Back 3」であった。

選定理由は運用のしやすさと
データ保護の確実性

 アール・アイは、オリジナルのバックアップソフトであるSecure Back 3 の開発を行なう、純国産ベンチャーだ。Secure Back 3ではリアルタイムやスケジューリングなどによるバックアップのほか、バックアップ元とバックアップ先を同期させるレプリケーションモードも用意されている。また、純国産ということで、日本語のGUIも搭載する。

 最大の特徴は、データセンターへの遠隔バックアップの機能をオールインワンで備えているという点だ。サーバー向けのSecure Back 3 Standard Editionでは自動的にVPNを構築し、東京電力のアット東京データセンター、NTTコミュニケーションズの那覇iDC、セコムトラストシステムズのセキュアデータセンターの3カ所へのリモートバックアップを行なえる。

 こうしたSecure Back 3について橋本氏は、「失礼ながら、アール・アイという会社はまったく知りませんでした。ただ、海外製品が多いなか、純国産のソフトであることや運用担当者がデモを見たところ非常に使いやすそうだという感想を持ったことで、私も興味を持ちました。とはいえ、これまでの苦い経験から、われわれが検証してからでないと導入はしたくありませんでした。そこで実際にデータの復旧作業などをSecure Back 3で検証したところ、これまでのソフトとは違い、簡単かつ確実にデータを復旧できることが実証されました。また確実なデータ保護を実現できる割に低価格であることも魅力的でした」と語る。こうした点が決め手となり、Secure Back 3 Standard Editionの導入を決定。2009年の1月に導入作業を完了した。

 具体的なネットワーク構成としては、ファイルサーバーとは別にバックアップサーバーを用意し、LAN経由でネットワークバックアップを行なうというきわめてシンプルなもの。「ファイルサーバー上の情報の重要性を考えると、サーバーの二重化などのフェイルオーバーによる冗長構成も考えましたが、ほぼリアルタイムにデータを保護できるうえ、リカバリも簡単に行なえるのであれば、多大なコストをかけて二重化する必要もないと考えました。また、ネットワークバックアップにすることで磁気テープへのバックアップなどのテープ交換の手間や管理から開放されました」(橋本氏)。

(次ページ、ファイルサーバーのデータを救ったSecure Back 3 「これまでの苦労が嘘のよう」)


 

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