画質はスペックだけで判断するのは難しい
大画面テレビでもっとも気になる画質・音質は、正直に言ってスペックだけで判断できるものではない。個人の好みもあるし、実際に量販店の店頭などで、自分で見比べてみるのが正解だ。そもそも最新モデルの特に40V型以上のモデルはスペックだけではほとんど差がつかないことも多い。このあたりをふまえたうえで、画質に関わるスペックの見方、実力の判定の目安となるポイントを上げていこう。
まず、大きな違いとなるのは表示パネルの違い。大きく分けるとプラズマと液晶の2種類がある。自発光のプラズマは高コントラストで動画応答性に優れる。視野角が広いので広い部屋で使う場合にも適している。一方の液晶は現在のテレビのほぼ主流といってもいい。もともとの画質性能はプラズマよりも劣るのだが、パネルの改善や最近ではLEDバックライトの採用により、プラズマと遜色のない実力を持つモデルも数多い。
LEDバックライトについては、本特集の第3回でも詳しく紹介予定だが、高コントラスト化が可能になる「エリア駆動」を採用するもの、薄型化に有利なエッジライト方式など種類はさまざまで、各社高画質化のための工夫を凝らしている。
解像度については、37V型以上のモデルはほとんどが1920×1080画素のフルHDパネルとなる。ハイビジョン信号をそのまま欠落させずに表示できるという点では、やはりフルHDパネルのものを選ぶ方がいいだろう。32V型クラスなどでは両タイプが共存しているので、注意したい。
このほか液晶テレビでは「倍速表示」にも注目したい。これについても詳しい仕組みの説明は第3回に譲るが、いわゆる120コマ表示の倍速表示は37V型以上ではほぼすべてが採用しており、もはや差別化要素にはなっていない。最近では、ソニーの「4倍速表示」や2倍速表示とバックライトの点滅(黒挿入に近い技術)の併用で、より残像を低減する技術を採用したモデルも増えている。
また「Deep Color」「x.v.Color」への対応を謳っているものも存在する。Deep Colorは従来HDMI規格ではRGMもしくはYCbCrそれぞれで8ビットずつ、合計24ビットの信号に対応していたが、これを最大16ビットまで拡張し、伝送できるようにしている(現在は12ビットまで対応する製品が多い)。
それぞれの色の微妙な違いが再現できるようになり、グラデーション模様などで色の境目が目立つカラーバンディングなどを抑えられる。ただし、テレビなどの表示機器、レコーダーやプレーヤーなどの再生機器の両方が対応していないと意味がない。
「x.v.Color」もそれに近い規格で、いわゆるテレビなどの放送規格よりもより広い色再現範囲を持った映像規格。HDビデオカメラやデジカメなどが採用しており、より豊かな色を再現できるものだ。これも同じくHDビデオカメラなどが「x.v.Color」に対応していないと意味がない。
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