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取引先が信用するネットショップを1年で作る方法 (2/2)

2009年11月25日 11時00分更新

文●三浦たまみ

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商機へつながった、開業前からの“信頼”

 ところで、「1個から仕入れができる」というのは、オリジナル商品に限ったことではありません。仕入商品に関しても、開業当初から「1個からの仕入れに応じてくれる」取引先と契約を結んだという河元さん。実績のない個人運営のネットショップでありながらこうした契約を快諾してもらえたのは、ある理由がありました。

 実は河元さん、開業前の2002年から『枕の総合ポータルサイト ぴろコレ』というサイトを運営し、1年間かけて枕に関する多くの情報を収集・提供していったのです。

「ぴろコレ」

河元さんが開業前から運営していた『ぴろコレ』


「『ぴろコレ』を運営するうちに、枕を扱うメーカーさんにサイトの存在を知ってもらえるようになり、新商品が出るたびにプレスリリースを送付してもらえるようになったんです。いざ、ネットショップを始めるとき、『ぴろコレ』をやっていたから信用していただけた側面は少なからずあったように思います」

 販売実績がなくとも、「枕に関する知識が豊富な人」「枕に関して情熱のある人」という認識をもってもらえたことが仕入れ元に好印象を与え、結果的により顧客ニーズに沿った商品開発につながった、といえそうです。

 低反発、抱き枕に続く新たな枕を柱に、新サイトの立ち上げを計画中だという河元さん。今後の展開から目が離せません。


 次回は、手作りピアス専門店『Four Seasons』(フォーシーズンズ)を紹介します。手作り品を扱うお店はたくさんありますが、息の長いショップになるために必要なことはどんな点にあるのでしょうか。


――ネットショップのエキスパートが斬る!――

 Webサイトマーケティング・コンサルティングと同時に、多くのEC支援ツール提供を手がける「株式会社ねこすけ」の福井敏治さんに、オリジナル商品開発における市場調査の重要性について解説していただきました。



まずはセット商品で顧客ニーズをつかもう!

 仕入商品に比べ利益を確保しやすいオリジナル商品ですが、河元さんのように開業当初からよい条件で製造販売できるケースはごくわずか。「本格的な商売はネットショップが初めて」という人が、いきなりオリジナル商品に手を出すのはおすすめできません。まずはネットショップを運営しながら、どんなニーズがあるのか見極める、サイトの見せ方、売り方などのノウハウを身につけることが先決です。

 販売ノウハウを身につけるうえでおすすめしたいのは、仕入れ商品を組み合わせたセット商品を販売してみること。新規購入客を獲得するための「お試しセット」や、贈り物に向いた商品を組み合わせた「ギフトセット」などはその一例です。仕入商品を使うとはいえ、どのように組み合わせるかは店主の腕の見せどころ。組み合わせ方によっては立派なオリジナル商品になります。

 たとえば、ある化粧品を扱うネットショップでは「妊娠線をケアするクリーム」と「マスコットキャラクターの人形」をセット販売しています。キャラクターがターゲット層に大人気だったことから売り上げは上々。顧客が「こんなの欲しかった!」と思えるセット商品を提案できれば当然売れ行きは伸びますし、販売していく中で、店主自身が「○○のような商品があれば…」と感じたり、ユーザー側から「○○のような商品が欲しい」と要望が出てくることもあります。ニーズが明確に見えてきた段階で、初めてオリジナル商品に目を向ければよいと思います。


オリジナル商品開発のカギは徹底的な事前調査

 オリジナル商品を開発する段階になったら、まずは、商品の競合店の調査をします。主に検索キーワードを入力し“相場”を掴みますが、ユーザーがどんなキーワードで来店するのか、過去の利用者動向などから分析し、想定していなかった競合がないかどうか見極める必要があります。

 たとえば、歯磨き粉をはじめ美容関連用品を販売するネットショップが、オリジナル歯磨き粉の開発に乗り出すとしましょう。このとき、顧客が「歯磨き粉」で検索をかけるのか、「歯を白くしたい」と目的を入力して検索をかけるのか顧客ニーズを考える必要があります。後者の場合、顧客は「歯を白くできるなら、歯磨き粉の購入でもいいし、審美歯科に通ってもいい」と思っている可能性があるのです。

 そうなると歯磨き粉を扱うネットショップのみならず、顧客単価の高い実店舗の歯医者まで競合として考えなくてはなりません。検索キーワードの入札額が高騰するなど、広告費用もかかってしまうことになり、同じ土俵で勝負するのは極めて困難になります。こうしたリスクを防ぐ意味でも、事前に、慎重に検討する必要があるというわけです。


福井敏治株式会社ねこすけ代表取締役。獨協大学卒業後、独立系IT会社「インテック」にて企業のイントラネット、インターネットなどの構築に携わる。2001年より、Webマーケティング会社イーナチュラルの立ち上げに参加。Web構築、コンサルティング、Web運営に携わる。2006年4月に「ねこすけ」として独立。Webマーケティングのノウハウとツールを提供しながらサイト運営をサポート。無料LPOツールや、営業マン向けアクセス解析ツールなども提供している。


協力:佐川フィナンシャル株式会社(http://www.sagawa-fin.co.jp/

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