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もう値下げはしない――年商4割減を選んだ繁盛店 (1/3)

2009年09月03日 13時00分更新

文●三浦たまみ

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なぜ、あのネットショップは今日も繁盛しているのか? なぜ、自分のショップでは商品が売れないのか?
他にはない強い商品開発力、他店を引き離す圧倒的な集客手法、一度捕まえたお客を逃がさない囲い込み術……と、成功したネットショップには現場で蓄積されたノウハウがある。本連載では、全国の優れたネットショップの事例からそのノウハウを公開。あなたのショップの“勝ちパターン”を見つけるヒントにしよう。⇒連載インデックス

■今回の成功ネットショップ:
自転車販売『サイクルサービスおおやま』


1996年11月、千葉県松戸市に自転車販売の実店舗『サイクルサービスおおやま』オープン。同年、同名のホームページを開設。1997年8月よりショッピングカート機能を付け、ネットショップも本格的にオープン。現在は、ロードレーサー、マウンテンバイクをはじめ主にスポーツ自転車を中心に販売。年商7400万円(2007年時点)。


明け方まで続く梱包作業――がむしゃらに働いた5年間

 1997年、実店舗とネットショップを開業した自転車販売の『サイクルサービスおおやま』。開業から5年ほどの間、店主の大山義治さんは事業を軌道に乗せるため、がむしゃらに働き、ひたすら売上を上げることに邁進します。目玉商品として20%の割引価格で商品を提供し、お買い得品を多数揃えるなどして精力的に販売。結果、注文はどんどん増えていきました。

 しかし2001年、年商が1億円を突破した前後から、自分の作業量の限界を明らかにオーバーしていることを自覚します。特に時間のかかる梱包作業は、明け方までかかっても終わらないような日々が続きました。新たなスタッフを雇う選択肢もありましたが、自転車は専門知識が必要とされる商材。メール対応にせよ、梱包作業にせよ、経験を積んだ人でなければ対応できないため、気軽に人に任せることはできませんでした。

「自分だけで抱えた結果、丁寧に自転車を組み立てているつもりが、どこか雑な部分が出てしまい、クレームがちらほらと舞い込みました。クレームが出た場合、競合店は、近所の自転車屋で直してもらうようお客様にお願いし、その代金を店側が負担して済ませてしまうケースが多いんですね。でも私は、自分の販売した自転車には最後まで責任を持ちたいし、ましてや、自分の不備でクレームが出たことに関して、他人に任せるなどということはできませんでした」

 売ろう売ろうと頑張った結果が、裏目に出てしまっている――。大山さんは悩んだ末、ある決断をします。

サイクルサービスおおやま

『サイクルサービスおおやま』の店内

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