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注目すべきはiPhone上で動くことだけではない

サポート広がるFlash 次はAndroid、さらにChrome OS?

2009年10月22日 16時30分更新

文● 海上忍

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アドビにとっては長年の宿願だった
iPhone上でのFlashの動作

 米アドビシステムズ(以下、アドビ)は10月5日、開発者向けカンファレンス「Adobe MAX 2009」の席上で、オーサリングツール「Adobe Flash Professional CS5」を発表した。これにより、従来サポート外だったiPhone/iPod touch(以下、iPhone)を対象に、Flashコンテンツの開発が可能になる。iPhoneユーザがFlashコンテンツを体感できるようになるには、年内公開予定のパブリックベータ版を待たねばならないが、それでも「Flash on iPhone」はビッグニュースといえる。

アドビのサイト

アドビのサイト上ではすでにAdobe Flash Professional CS5のサイトが公開されており、年内のベータ版の配布が発表されている

 iPhoneでFlashコンテンツを実行可能にすることは、iPhoneが世間の注目を集め始めてからのアドビの宿願だ。同社は事あるごとにiPhoneへの積極姿勢を示し、Flash on iPhoneは十分に実現可能だと主張していたことは、記憶に新しい。しかし、iPhoneの開発環境およびコミュニティを掌握しているアップルの協力は得られず、結局Flash on iPhoneは実現されないまま現在に至った。

 今回発表されたFlash Professional CS5は、Adobe AIRおよびFlash Player 10を含むFlash Platform用ソースコードを、iPhoneアプリとしてビルドする機能を備える。実際、いくつかのiPhoneアプリはApp Storeで提供開始されていることからしても、商業ベースの開発環境としても利用できることを意味している。

Flash Professional CS5上で開発されたアプリのサンプルである「Red Hood」。イラストにはストーリーが盛り込まれている

iPhoneで「Flash」が実行可能になることの意味

 Flash Professional CS5はいまだパブリックβ版が公開されていないが、Adobe MAX 2009での会見やAdobe LabsのWebサイト報を通じ、その概要が明らかにされている。ここでは、現時点で確実な情報を整理してみよう。

 1つは、Flash PlayerおよびAdobe AIR向けという「Flashプラットフォーム」向けに開発したソースコードおよびコンテンツは、再利用が可能ということ。Flash Professinal CS5を使いiPhoneネイティブアプリとして生成すれば、App Storeで販売することもできる。ウェブ向けコンテンツのノウハウだけでなく、リソースをそのままiPhoneアプリに流用できることは、開発者にとって大きなプラスとなるに違いない。

 ただし、既存のFlashプラットフォームとは実行環境が大きく異なる。アップルは、動的にバイナリを生成するタイプのiPhoneアプリを許していないため、Flash PlayerのようにJITコンパイラは利用できない。Webのコンテンツにもアクセスできないことから、Webと連携して動作する既存のFlashコンテンツは、大幅に書き直さなければならないだろう。Flashコンテンツ(SWFファイル)をiPhoneアプリに変換できるわけではないことも、認識しておく必要がある。

 以上を踏まえると、Flash Professinal CS5の発表後に見かける「iPhoneでFlashがサポートされる」との表現には、若干語弊があることがわかる。ActionScriptでiPhone用のコンテンツを開発できるようにはなるが、それはFlashコンテンツと一部共用可能なリソースをもとに生成されるiPhoneネイティブアプリであり、開発者によるコードの修正がなければ流用できない。iPhoneにとっての現時点におけるFlash Professional CS5とは、Flashの資産の一部を活用してiPhoneアプリを生み出せる開発環境と説明できるだろう。

同じくサンプルアプリの「Trading Stuff」。かつて月刊ASCIIに掲載されたPC-8001用ゲーム「トレードトレック」に似ているような……

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