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塩田紳二の3年戦える「ビジネスPC」選び 第2回

ソニー「VAIO type Z」に見る「ビジネスPC」の真髄

2009年09月03日 06時00分更新

文● 塩田紳二

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ソニーが考えるビジネスノートPCの条件とは?

―――機種を設計するとき、ビジネス向けとする場合には、どのような条件を設定しているのでしょうか?

type Zのキーボード

type Zのキーボード

 まず、重要なのは、キーボードサイズです。オフィスでの利用を考えると、フルキーとなるための19mmピッチは必須です。そこから最小のフットプリントを考え、液晶サイズとして13インチを選択しました。ただ、キーピッチだけでは十分ではなく、キーストロークも重要です。
 ビジネスという点では、液晶部分にもこだわりがあります。VAIOシリーズは液晶の綺麗さにも定評があるのですが、今回はビジネス仕様ということで、発色の良さは維持しつつ、写り込みが少ない液晶――具体的にはノングレア処理したものを採用しています。
 液晶は、液晶メーカーと機種ごとにゼロから作り上げていきます。出来合いのモノを使って、ここまでのクオリティーと性能を出すことはできないからです。この13インチの16:9の液晶は、我々以外、どのメーカーも使っていません。
 実際に見るとわかるのですが、AV向けノートのピカピカした液晶ではなく、かといって完全なビジネス向けのツヤ無しでもなく、その間に位置するものです。我々はこれがベストバランスではないかと考えています。
 ビジネスで利用するときには周囲の明かりが写り込んでは困るし、逆に動画などを見るのに色が悪くてはつまらない。そのためのベストバランスになるように表面加工してあります。


type Zはセパレートキーを採用

type Zでは、キートップ同士の隙間が空いたセパレートキーを採用する

―――このtype Zでは、キートップとキートップの間が空いたセパレートキーを採用しているのはどうしてでしょう?

 キーボードには、これまでのノートPCのように間の空いてないものもあれば、電卓のように間が空いたものもあります。それぞれにメリット、デメリットがあります。このセパレートタイプのキートップでは、間違って横のキーを押す可能性が少なくなっています。もちろん、デザイン的な要素も考慮してあります。
 もうひとつ。この構造はキーボード部分の剛性を高めることが可能です。これまでの間の空いていないキーボードでは、キーボード部分を大きく抜いて穴を開けなければなりませんでした。さらに、キーボードを支えるために、キーボードの下を補強する必要がありました。しかしこの構造では、パームレスト部分と(キーボード部分を)一体化できるため、キーボード側に大きな穴を開ける必要がなく、このフレームでキーボードを支えることができます。キーを押すと全体がたわんでしまうようなことはありません。人によっては、キーボード部分のたわみを非常に気にすることもあり、この部分の剛性はキーボードの使いやすさの一部だと考えています。
 また、type Zにはビジネス向けという要素があったので、カラーバリエーションを多数揃える必要がありませんでした。通常、カラーバリエーションを展開するときには、多数の色を作るために、キーボードは塗装して作ります。しかし、このキーボードは、塗装ではなくレーザー刻印という方法を使って、摩耗に強い方法で作られています。長く使っても刻印があせてきません。
 実際のところ、ビジネス向けということで、この機種では摩耗に強いレーザー刻印を採用したかった。そのために、最初から何色もカラーバリエーション展開はしないと決めたのです。ただし、液晶側の天板部分は独立した部品なので、いくらでも変更が可能です(編集部注:実際にワインレッドのカラバリ製品が発表されている)。
 そして、パームレスト部の本体カラーのほうは、汚れの目立たない黒系と高級感のあるアルミ系を用意しています。

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