旧機種も「長く使ってほしい」
── これだけ色々な新機能を聞くと、GRD IIユーザーもIIIに買い換えたくなりそうですが……。
樋口:ただ、我々としてはできるだけGRシリーズを長く使っていただきたいと思っているので、「一度発売したら終わり、次が出たら買い換えて」ではありません。今回も、GRD IIIの新機能の中で、GRD IIでも搭載できる機能については、ファームアップで対応してます。長く使ってください。
── 最後に、GRD IIIに変えたらこんなシーンでこんな写真を撮れるようになった、という話を聞かせてください。
大野: 私は逆光写真ですね。今回はレンズによるゴーストがすごく減ったので、逆光でも大丈夫です。
中平:暗いところで安心して撮れるようになったことですね。お店の中でも撮れます。もうひとつ、液晶ディスプレーが大きくなっただけではなく、見やすくなったのが大きいですね。屋外でもしっかり確認しながら撮れます。
樋口:わたしのおススメめは、先ほどちょっと触れたフルプレススナップ機能です。子供を連れて散歩するのですが、一瞬の表情を撮りたいとき、AFだと間に合わない。フルプレススナップを1mに指定しておくと、AFを省略してその距離で撮れるんです。これはスナップに便利ですね。
オマケ:専用ソフトケース
というわけで、GRD IIIは予想以上によい進化をしたデジカメだった。見た目やスペック(つまり、画素数)という一見して分かりやすい部分ではなく、むしろ画素数を抑えることで本質的な性能をアップさせたのだ。見た目は変わらないので、ある意味、「最強のマイナーバージョンアップ」と言えるかもしれない。
実際に触ってみたが、F1.9は前モデルのF2.4に比べて約2/3段ほど明るく、室内でも感度を上げないで撮れるほどだった。これは素晴らしい。
初代GR DIGITALの登場からまもなく4年。コンパクトデジカメの多くが目まぐるしくモデルチェンジする中、慌てることなく、2年おきに新型が出ている計算だ。この間、「小型で高画質なスナップ用広角カメラ」というコンセプトが一切ぶれずにきたのは、スゴいことではないだろうか。