一方Athlon 64については、まず「Orleans」コアと呼ばれるCPUが投入される。基本的には、デュアルコアのWindsorを1コアにした製品である。製品の大半は2次キャッシュを512KB搭載するが、ごく一部の製品のみ2次キャッシュ 1MBを搭載する。
Athlonも65nm SOIの「Lima」というコアに移行する。Limaもまた途中で、Athlon 64→Athlonに製品名が変わるが、基本は一緒である。ちなみに、65nm SOIプロセスを使っているにも関わらず、1MBの2次キャッシュを搭載した製品もあるのは、ちょっと興味深いところだ(Athlon LE-1640とAthlon LE-1620)。
Athlonに関しては、今のところこの後継製品が出るかどうかはっきりしていない。というのも、バリュー向けにもデュアルコアCPUを使う風潮が高まってきたためだ。インテルはCeleronにデュアルコアを投入しつつあるし、AMDも非公式ながら、デュアルコアSempronを投入している。また、Athlonの低電圧版を薄型モバイル向けとした「Athlon Neo」にもデュアルコア製品が投入されるなど、いまや「最低ラインがデュアルコア」という動きが高まりつつある。
グラフィックス機能をCPUに統合する「Fusion」構想第1世代に予定されている32nm CPU「Llano」(リャノ)についても、どうも「シングルコアではない」という話も出てきつつある。もちろん、「Athlon II X2」(次回紹介予定)の片方のコアを殺す方法でシングルコア製品は作れるから、あくまで市場のニーズ次第で製品は出すと思われるが、シングルコアのみのダイは、Limaが最後の世代ではないかと想像される。
最後にバリュー向けのSempronブランドを見てみよう。こちらはまず、Orleansの2次キャッシュサイズを128/256KBに制限した「Manila」コアを投入。ついで2007年9月に、今度はLimaのキャッシュを制限した「Sparta」コアが投入された。
その後、2008年3月に突如「Sempron X2」が投入されるが、この製品はいまだに公式には発表されていない。実のところ、この製品は本来特定国向け(中国というもっぱらの噂だが、真実かどうかは不明)専用の限られたモデルだった模様で、ロードマップに入れるべきかちょっと悩んだのだが、逆にAMDが望めばいつでも投入できるということで残してある。こちらは65nm世代Athlon X2「Brisbane」をベースに、やはり2次キャッシュを制限したものとなる。
さて、こうなると「Sempronの今後はどうなるのか?」というのが気になるところ。現時点でSempronは全量がSocket AM2対応で、Socket AM2+のマザーボードでは使えるが、Socket AM3マザーボードでは利用できない。“Socket AM3マザーボード+Sempron”という組み合わせもちょっと妙なので、当面はSocket AM2のみの対応で問題ないという事なのだろう。次世代Sempronになるのは、Athlon同様にAthlon II X2のコアを流用した製品になると思われる。
今回のまとめ
・Athlon 64最初の世代は、130nm SOIプロセスの立ち上げで苦労した。また、初期のSempronのラインナップは、モデルナンバーやソケットが入り乱れて混乱していた。
・DDR2対応の「Socket AM2」世代以降は、ラインナップの混乱は整理された。AM3への橋渡し役「Socket AM2+」、DDR3対応の「Socket AM3」と順次アップデートされている。
・2007年末に、クアッドコアの「Phenom」登場。現在は45nmプロセス版「Phenom II」に移行。
・Athlonは65nm世代のデュアルコア「Lima」、Sempronは65nm・シングルコア「Sparta」へ移行。Sempronはデュアルコア版も非公式にあるが、今後の動向は不透明。
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