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「データストレージEXPO」のストレージソリューションを紹介

増え続ける業務データはこうして管理する

2009年05月18日 18時40分更新

文● 川添貴生(インサイトイメージ)

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東京ビッグサイトで5月15日まで開催された第11回データストレージエキスポ。ここでは、会場において目にとまったソリューションをいくつか紹介していこう。

データの保護と管理は永遠のテーマ

 増え続けるデータをどうやって保存していくのかは、ITを活用していく上での永遠の課題といえる。増えれば増えるほど、消失や漏えいへのダメージは大きくなり、管理も面倒になっていく。個々の技術トレンドは変われども、増え続けるデータの管理をいかに効率化し、自動化するかというのが、データストレージEXPOの一貫したテーマであることは間違いない。多くのベンダーがデータの保存やバックアップ、遠隔地との連携のためのソリューションを紹介していた。

テープドライブを内蔵したディスクアレイ装置

 日立製作所は「Hitachi Tape Modular Storage 1000」を展示していた。いわゆるディスクアレイ装置だが、最大の特徴はテープドライブを搭載していること。

日立製作所の「Hitachi Tape Modular Storage 1000」。ディスクからディスク、そしてテープというバックアップフローを1台で実現する

 HDDに蓄積したデータを、同一筐体内でテープメディアにレプリケーションできる。またレプリケーションを筐体内のコントローラを使って行なうため、OSに依存せず、テープへのバックアップが可能となっている。

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重複除外によってバックアップデータを削減

 丸紅情報システムズは、データドメインのソリューションによるバックアップの効率化を紹介していた。

コントローラとディスクシェルフが統合された「Data Domain」アプライアンス。遠隔地へのレプリケーション機能もオプションで追加可能。

 データドメインは、データの重複除外(デデュープ)によって10~30倍の比率でバックアップデータの容量を削減してバックアップを行なう。これによりストレージコストを削減できるほか、ディザスタリカバリ環境の構築におけるネットワーク負荷も下げられるという。

 今あるストレージ容量を効率的に使うという意味では、こうした重複除外の隆盛は、コスト削減時代ならではトレンドといえる。

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スケールアウトが容易な
Isilon IQクラスタストレージ

 アイシロン・システムズの「Isilon IQクラスタストレージ」は、同社独自の分散ファイルシステムである「OneFS」を搭載することで拡張を容易にした製品だ。

ノードを構成する各クラスタに自動的にファイルを分散することにより高いスループットを実現する「Isilon IQクラスタストレージ」

 一般的なストレージは、外部からのリクエストを処理するサーバ(NASヘッドなど)と、HDDを束ねるコントローラ、そしてRAIDで構成されたドライブという構成になっている。Isilon IQクラスタストレージは、OneFSにより1つの筐体でこれらすべてを実現しているのが特徴。これにより管理負荷を大幅に削減しているほか、ディスク容量が足りなくなったときでも、筐体を追加するだけで対応できる拡張性の高さを誇る。

 導入企業としては、SNSとして膨大なユーザー数を誇るMySpace.comや写真共有サービスであるKodak EasyShare Gallery、膨大な音楽をインターネット上で提供しているソニー・ミュージックネットワークのSony Music Online Japanなどが紹介されていた。こうしたWebサービスにおいては、初期の段階で必要なストレージ容量を見積もることが難しい。そのため、後々容量を拡大しやすいIsilon IQクラスタストレージの利便性が受け入れられているとのことだ。

1ペタバイトを実現できる「デジタル倉庫」

 ニューテックで人目を引いていたのは、容量1PBの「デジタル倉庫1ペタバイト」。企業内に分散しているストレージの統合や、映像やCADデータなどの保存などの用途が想定されている。

ペタクラスのストレージを構成できる「デジタル倉庫」。6180万円と聞くと高価なように思えるが、HDDの低価格化によって2~3年前の1/3程度になっているという

 また同社はSSD対応にも力を入れている。現在、アクセス速度や耐衝撃性からコンシューマ市場で話題となっているSSDだが、エンタープライズ業界においても注目度は高いという。たとえば放送用の非圧縮のHD動画をやり取りするような用途では、高速なSSDのアドバンテージは大きいという。

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 今回のデータストレージエキスポを見ていて感じたのは、バックアップや拡張時における作業負荷の削減、さらにはディザスタリカバリを意識したレプリケーションといった部分に注目が集まっているということ。特に現在はIT統制の観点から適切なデータ保護が強く求められるようになっており、ストレージ製品の重要性は今後も増していくだろう。

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